いまの焦りを、まず安全な行動に変えましょう
トイレの水位がじわじわ上がってきた瞬間、心臓がギュッとなります。
「やばい、溢れる」「賃貸なのに…」「家族が使うのにどうしよう」。その気持ち、痛いほどわかります。
ただ、ここで大事なのは“スッポン(ラバーカップ)を握る前に、まず溢れない状態を作る”ことです。
詰まりは、焦って押し込むほど悪化しやすい。逆に、順番どおりに切り分けると、拍子抜けするほどあっさり解決することも珍しくありません。
最初に深刻度を分けます。
すぐに処置が必要なケースは、「水位が便器のフチ近くまで上がっている」「すでに床に水が広がり始めた」「ゴボゴボと異音が続き、洗面や浴室の排水口まで逆流気味」「マンションで下階への漏水が怖い」などです。ここでは“これ以上流さない”が最優先になります。
一方で落ち着いて対処できるケースは、「1回流したら水位が上がるが、その後ゆっくり下がる」「水位は上がったままだがフチまでは遠い」「流した直後に一度だけゴボッと鳴る」などです。
このタイプは、原因が“紙の入れすぎ”など軽い可能性が高く、正しい手順を踏めば自力で復旧できる確率が上がります。
この記事では、あなたがいま置かれている状況を最短で安全に復旧させるために、原因の切り分けから、レベル別の対処(DIY→本格対処)、そして「ここから先はプロ」の判断基準まで、全部まとめました。
「何から手を付ければいいか分からない」を、読み終わる頃には「次にやることが決まっている」に変えます。
※この記事は、住まい・生活トラブル分野の専門的知見を持つライターが、製品仕様や一般的な施工基準に基づき執筆しました。状況により専門業者の判断が必要な場合があります。
基礎知識(トラブルのメカニズム解剖):トイレ詰まりは「押し固め」と「空気の逃げ道」で決まる
トイレ詰まりの正体は、ざっくり言うと配管のどこかで“水と空気の通り道”が細くなることです。
そして、その細くなり方には2種類あります。第一に、紙や便が溜まって“栓”になっているタイプ。第二に、おもちゃ・生理用品・掃除シートなどが引っかかり、そこに紙が絡んで“壁”みたいになっているタイプです。
ここで重要なのが、トイレは水だけで押し流しているわけではないという点です。
便器内部の水たまり(封水)と、流す水の勢い、そして排水管内の空気の動きがセットになって、初めてスムーズに流れます。
ところが詰まりがあると、空気が逃げられず、ゴボゴボと音が出たり、別の排水口が鳴いたりします。
さらに、便器から床へ伸びる途中には曲がり(トラップ)があり、ここが「詰まりの定番ポイント」です。
ラバーカップはこの曲がり付近の詰まりに強い反面、異物が引っかかっている場合に無理に押すと、異物が奥に移動して取り出せない位置に“押し固める”ことがあります。これが最悪のパターンです。
だからこそ、スッポンの前に確認してほしい。
「詰まりは紙系の“やわらかい栓”なのか」「固形物の“引っかかり”なのか」。この切り分けだけで、成功率と安全性が一気に上がります。
放置のリスク:1週間後、1ヶ月後に何が起きるか
「今日はとりあえず我慢して、明日考える」という気持ちも分かります。
しかし詰まりの放置は、時間とともに“詰まりの性質”を変えます。
当日〜翌日は、紙や便が水を含んで膨らみ、さらに通水断面が狭くなりやすい時期です。
水位が下がったように見えても、配管内には残材が貼り付いていることがあり、次に流した瞬間に再発します。
1週間後になると、詰まりの周囲に汚れが付着して“滑りが悪い壁”が形成されやすく、軽い紙詰まりが慢性的な流れの悪さに変わります。
臭気が強くなったり、換気扇のないトイレでは空気が重く感じることもあります。
1ヶ月後では、配管内の付着汚れが層になり、そこに紙が引っかかりやすくなります。
つまり「たまに詰まる」が「頻繁に詰まる」に変化し、結果として高圧洗浄や便器脱着など工事寄りの対応に発展する可能性が高まります。
準備編(プロが選ぶ道具と環境づくり):やるべきは“作業”より先に“事故防止”
詰まり対応は、排水そのものよりも周辺を汚さない・溢れさせないことが成功の半分です。
つまり、最初に道具を集めるのは「直すため」だけではなく、「失敗しても被害を広げないため」です。
まず揃えるもの:代用品の可否まで正直に
第一に、床養生のための厚手のゴミ袋が有効です。
新聞紙は吸うけれど破れやすく、汚水が染みて最終的に掃除が増えがちです。ゴミ袋なら広げて二重にし、上に古タオルを敷けば、滑り止めと吸水の両方が取れます。
第二に、手を守るゴム手袋です。100均の薄手でも構いませんが、詰まり作業は便器縁で擦れやすいので、できれば厚手(作業用)が安心です。
「素手で短時間だから」は、あとで傷口がヒリついたり、衛生面のストレスが残ります。
第三に、汚水を一時退避させるバケツと柄の長いコップ(または小さめの容器)です。
これがあると、便器の水位を安全域まで下げられ、ラバーカップが“押しやすい水量”に調整できます。代用品として洗面器でも良いですが、深さが足りないと運搬時にこぼれやすいので注意してください。
第四に、ラバーカップ(スッポン)を使う場合は、形状が重要です。
洋式トイレの多くは先端に突起(ツバ)があるタイプが合いやすい。和式用の平たいタイプを無理に当てると密閉できず、空振りが増えます。
「家にあるから」で進めると、結果的に時間が伸びます。
第五に、可能ならビニールシートやラップも用意してください。
「ラバーカップの柄の付け根から汚水が飛ぶ」あるあるを予防するために、柄の根元に巻いて簡易カバーにすると、掃除の手間が激減します。これは現場でよくやる“小技”です。
安全確保:作業前に“止水・換気・電気”を整える
作業前にやってほしい最重要は、これ以上流さないことです。
便器が詰まっているときの「追い水」は、うまくいけば流れますが、外すと溢れます。リスクが大きい局面では、勝負をかけない方が正解です。
次に、可能なら止水栓を締めてください。
タンク式なら、壁や床から出ている給水管の途中にマイナス溝のネジがあることが多いです。マイナスドライバーがあれば回せますが、なければ硬貨で回せることもあります。
ここを締めると、誤ってレバーを触っても給水が止まり、タンクが満水になりません。
そして換気です。詰まり対応は、どうしても便器内の空気が動き、臭気が立ちます。
換気扇を回し、可能なら窓を少し開け、トイレのドアは半開きにして空気の逃げ道を作ると、作業ストレスがかなり減ります。
最後に足元の安全。床が濡れると滑ります。
スリッパは滑るので、できれば裸足ではなく、汚れても良い靴下+滑りにくい室内履きが安心です。
とくに賃貸でクッションフロアの場合、汚水が目地に入ると臭いが残りやすいので、最初の養生が効きます。
実践編:スッポン前に「切り分け」→「水位調整」→「適切な圧」を作る
【レベル1】初心者でも可能な初期対応(DIY):焦らず、順番通りにやるだけで成功率が上がる
手順0:いま絶対にやらないこと(ここが失敗の分かれ道)
まずやらないことを明確にします。
第一に、詰まっているのに何度も流すのは避けてください。水位が上がるたびに心が乱れ、判断が雑になります。詰まりは“勝負回数”を重ねるほど悪化する場面があります。
第二に、熱湯をいきなり入れるのは危険です。
陶器(便器)や配管が急激な温度変化で割れたり変形するリスクがあります。特に冬の冷えた便器に熱湯は、ひび割れの原因になることがあります。
温度を使うならぬるま湯(目安40〜50℃)に留めるのが無難です。
第三に、市販の強い薬剤を“混ぜる”のは避けてください。
塩素系と酸性系の混用は危険ですし、そもそも紙詰まりに効かない薬剤もあります。焦りが強いほど、ボトルを次々試しがちですが、まずは機械的に流れを回復させる方が安全で早いことが多いです。
手順1:水位と状況を観察し、原因の当たりをつける
便器の水位が時間とともに下がるかを見てください。
5分待って、ゆっくりでも下がるなら、完全閉塞ではなく“部分閉塞”の可能性が高いです。この場合、紙詰まりなど柔らかい原因であることが多い。
逆に、30分待っても水位がまったく動かない、あるいは少し下がっても次の瞬間に戻るなら、固形物が引っかかっている、または排水管の奥で“空気が逃げない状態”になっている可能性があります。
この場合は、スッポンでもいけますが、押し込みリスクを意識して進める必要があります。
もう一つの観察ポイントは音です。
流した直後に「ゴボゴボ」と長く鳴る、トイレ以外の排水口が鳴るなら、空気が別ルートへ逃げているサインです。
集合住宅でこの症状が強い場合は、あなたの部屋だけではなく共用配管側の影響もゼロではありません。ここは後ほど「プロ判断」で詳しく説明します。
手順2:便器の水位を“安全域”まで下げる(実況中継レベルで)
便器の水位が高いままラバーカップを当てると、圧をかけた瞬間に汚水が跳ねます。
そこで、まず水位を下げます。ゴム手袋を付け、バケツを便器横に置き、柄の長いコップで便器の水をすくいます。
目安は、便器内の水面がいつもの水たまり+少し高い程度まで下がっている状態です。
すくった水はバケツへ移し、床にこぼさないようにゆっくり運びます。焦るとここで一番汚します。
なぜ水位を下げるのか。理由は単純で、ラバーカップは水を押し引きする道具だからです。水が多すぎると、圧が“詰まり”ではなく“便器の外”へ逃げやすい。
水が適量だと、圧が詰まりに集中します。
手順3:スッポン(ラバーカップ)の正しい当て方と圧の作り方
ここからスッポンです。ただし“勢い”ではなく“密閉”が要です。
ラバーカップは排水口に対して垂直に当て、ゴムの縁がしっかり密着する位置を探します。洋式用の突起付きなら、その突起が排水口に入るように合わせます。
次に、最初の動作が大事です。
多くの人がやりがちなのは「いきなり強く押す」ですが、これは密閉前に空気を押し込むだけになり、力が逃げます。
まずはゆっくり押してゴムを潰し、密閉を作る。そのうえで、勢いよく引く。これが基本です。
「押す」ではなく「引く」を強調するのは、詰まりの多くが“便器の曲がり”にあり、押すと奥へ固める可能性があるからです。
一方で引くと、詰まりが揺さぶられ、崩れて流れやすい。多くのプロが“押すより引くを意識”と言うのは、このリスク管理です。
回数の目安は、まず5回。
5回やって変化がなければ、角度を少し変えて再度5回。
ここで何かが動いた感触、つまり「ブツッ」「スッ」と負荷が軽くなる瞬間があれば、詰まりが崩れ始めています。
手順4:流す前の確認と“試し流し”のコツ
詰まりが抜けた気配がしたら、いきなりレバーで流さないでください。
ここでも事故が起きます。まずはバケツに溜めた水、もしくは別で用意した水を、便器内側の壁に沿わせてゆっくり注ぎます。
なぜ壁に沿わせるのか。
勢いよく中心へ注ぐと、詰まりが残っていた場合に水位が急上昇し、溢れるからです。壁沿いなら水位の上がり方が穏やかで、途中で止められます。
注ぐ量の目安は、まず2リットル程度。
水位が上がっても10秒以内にスッと下がるなら通水が戻りつつあります。さらに2リットル追加し、同じ反応なら、最後にレバーで“弱め”に流します。タンク式なら小で試すのも一つです。
【レベル2】専用道具を使った本格的な対処法:スッポンで動かないときの“次の一手”
ラバーカップで変化がない場合、次に考えるのは「詰まりの位置が深い」か「異物が原因」かです。
ここで闇雲に力技へ行くと、取り返しがつかなくなります。プロが次に選ぶのは、“詰まりを壊す”ではなく“形状に合わせて通路を作る”アプローチです。
ワイヤー(トーラー)を使う:やり方より先に“便器を傷つけない理屈”を理解する
ホームセンターで買えるトイレ用ワイヤー(トーラー)は、詰まりへ到達し、先端で崩す・絡める道具です。
しかし、使い方を誤ると便器内部に擦り傷が入り、汚れが固着しやすくなります。だから、入れ方が大事です。
まず、ワイヤーを排水口へ入れるとき、金属が陶器に当たる角度を避けます。
つまり、ワイヤーはまっすぐ押し込むのではなく、排水口の中心を探りながら、回転させて“自分で進む方向”を作るイメージです。
抵抗があったら押さない。回して、少し引いて、また回す。これが傷を減らします。
回転させる理由は、トラップ部が曲がっているからです。
直線的に押すと曲がりに当たり、そこで先端が暴れて傷になります。回すと先端が曲がりに沿いやすくなり、進みます。
詰まりに当たった感触は、「ゴツッ」よりも「ムニュ」「硬いスポンジ」みたいな抵抗で現れることが多いです。
ここで強く押し込むと、異物なら奥へ行きます。だから、少し引いて抵抗の形を感じ、紙系なら崩す、異物っぽい硬さなら無理をしない、という判断が必要です。
ぬるま湯+中性洗剤:紙詰まりの“ほどけ”を狙う安全策
紙や便が原因っぽいのに動かないときは、機械的に押すより、ほどけやすくする手があります。
ここで使うのはぬるま湯(40〜50℃)と、台所用の中性洗剤です。
やり方は、便器の水位が低い状態で、中性洗剤を適量(目安100ml程度)入れ、ぬるま湯をゆっくり注ぎ、30分〜1時間待ちます。
洗剤は水の表面張力を下げ、紙の繊維が水を含みやすくなります。
つまり“固まり”が“ほぐれ”へ変化し、次のラバーカップが効きやすくなります。
ここでのNGは熱湯です。
便器と配管を守るため、温度は守ってください。焦りで温度を上げるほど、壊したときの損失が大きいです。
真空式パイプクリーナー:成功率は高いが、準備が甘いと汚れる
ラバーカップの上位互換として、真空式パイプクリーナーがあります。
密閉して強く負圧を作れるため、紙詰まりに対する成功率は上がりやすい。
ただし、圧が強いぶん、便器内の水が跳ねるリスクも上がります。
だからこそ、最初の養生が重要で、柄の根元にラップを巻く小技が活きます。
また、便器の水位は少なめにし、密閉が取れる角度を丁寧に探してください。
【ケーススタディ】住居環境別の注意点:戸建てと賃貸で「正解の速度」が違う
戸建ての場合:原因が室内だけとは限らない
戸建てで詰まった場合、まず室内の詰まりを疑うのは正しいです。
ただし、庭の排水桝(汚水桝)が詰まり気味だと、トイレは“最初に悲鳴を上げる場所”になりやすい。
つまり、トイレだけ直しても再発するケースがあります。
目安は、トイレだけでなく、洗面や浴室の排水も同時に流れが悪いかどうか。
複数箇所が重いなら、桝や屋外配管の問題の可能性が上がります。この段階で家の外まで視野に入れると、無駄なDIYを減らせます。
マンション・アパート(賃貸)の場合:最優先は“漏水リスクの最小化”
賃貸で一番怖いのは、詰まりそのものより溢れによる床・階下への被害です。
クッションフロアは水が染み込みにくいようで、実際は端部や継ぎ目から入り、下地まで到達することがあります。そこから臭いが残り、退去時のトラブルに繋がることもあります。
したがって賃貸は、早い段階で「ここから先は業者」と割り切る判断が価値を持ちます。
特に、生理用品やおもちゃなど固形物の心当たりがあるときは、押し込むほど修理代が上がりやすい。
管理会社・大家へ連絡する基準も後半で整理します。
比較検討(自力 vs プロ依頼の最終判断):境界線を、感情ではなく条件で決める
ここが一番知りたいところだと思います。
結論から言うと、自力でやってOKなのは「紙・便・少量の嘔吐物」など、水に分解するものが原因の可能性が高いときです。
そして、これ以上はプロに切り替えるべきなのは、「固形物の可能性」「集合住宅での漏水リスク」「複数箇所の排水不良」のいずれかが強いときです。
“ここまでは自分でOK”の境界線
第一に、水位が上がっても時間とともに下がる、つまり部分閉塞であること。
第二に、固形物を落とした記憶がなく、直近で紙を多く使ったなど原因の心当たりが柔らかいこと。
第三に、ラバーカップを正しく使える環境が整っていること。養生・止水・水位調整ができていれば、被害を最小に試せます。
“ここから先はプロ”の境界線(かなり明確に言います)
第一に、固形物の心当たりがある場合です。
子どものおもちゃ、掃除用シートやティッシュの大量、スマホ、芳香剤の中身、生理用品。これらは押し込むほど奥へ行き、便器脱着が必要になりやすい。
多くのプロは“固形物疑いは初動で業者”を推奨します。
第二に、水位が下がらず、繰り返し試しても変化がない場合です。
ラバーカップ10〜15回を2セット、ぬるま湯待機もして無反応なら、詰まり位置が深い・構造的な閉塞の可能性が上がります。ここで粘るほど、汚れと時間だけが増えます。
第三に、賃貸や集合住宅で、床が濡れた・フチ近くまで水位が来るなど溢れ一歩手前の状況です。
この条件では“直す”より“被害を止める”が最優先で、プロの道具と経験が効きます。
| 比較項目 | DIY(自分で対応) | 業者(プロ依頼) |
|---|---|---|
| 費用感 | ラバーカップ1,000〜2,500円程度が中心。真空式は3,000〜6,000円程度のことが多い。ワイヤーは形状次第で2,000〜5,000円程度。すでに道具があれば実費は抑えられる。 | 詰まり除去の基本作業は8,000〜20,000円程度が相場帯になりやすいが、夜間・緊急・出張距離で上下する。便器脱着・高圧洗浄・異物回収は追加になりやすい。 |
| 時間 | 準備から片付けまで30〜90分が目安。ただし失敗すると延び、精神的疲労が大きい。 | 訪問までの待ち時間はあるが、作業自体は30〜60分で終わるケースも多い。原因確定まで含めると早い。 |
| リスク | 溢れ・汚水飛散・固形物を押し込むリスク。賃貸では原状回復トラブルに繋がる可能性がある。 | 費用は発生するが、原因の見立てと再発防止まで含めて対応できる。作業保証が付く場合もある。 |
| メリット | すぐ着手でき、軽い紙詰まりなら最短で復旧する。道具が手元に残り、次回の予防にもなる。 | 固形物・深部詰まり・配管側の問題に対応でき、再発原因の特定がしやすい。時間と心理的負担を減らせる。 |
この表の読み解き方を、もう一段深く説明します。
DIYは費用が安いように見えますが、実は“失敗したときの損失”が大きい。汚水の掃除、床材への染み、借家なら管理会社との連絡、そして何より「もう一回やるのか…」という心理的疲労が重くのしかかります。
一方で業者は費用がかかるものの、固形物の疑いがある場合などは最終的に安くなることがあります。なぜなら、押し込んで便器脱着コースにしてしまうと、初動で呼んだ場合より高くなることが多いからです。
迷っているなら、「固形物の可能性」と「溢れリスク」の2軸で考えると、判断がぶれません。
予防とメンテナンス(二度と繰り返さないために):詰まりは“習慣”で減らせます
トイレ詰まりは、運の要素もありますが、実は日常の使い方で発生率が大きく変わります。
特に冬の乾燥時期や、来客が多い時期は紙の使用量が増え、詰まりやすくなります。
ながら予防:紙の「量」と「流し方」を変えるだけで戻ります
第一に、紙は“ためてから”ではなく、“区切って”流すこと。
一度に大量に流すと、トラップ部で紙が束になり、そこに便が絡んで栓になりやすい。
同じ量でも、2回に分けるだけで詰まりにくさは体感できます。
第二に、節水のやりすぎに注意です。
「大を小で流す」「タンクにペットボトルを入れる」は、水量が足りなくなり、流しきれずに配管内へ残りやすい。
節水は大切ですが、詰まりが増えたら本末転倒なので、まずは元に戻して様子を見るのが合理的です。
点検習慣:流れの変化は“音”と“水位”に出る
詰まりの前兆は、意外と早く出ます。
流したときの音が重い、最後の水位が高い、流れが渦を巻かずに止まる。こうした小さな変化は、配管内の付着汚れや軽い引っかかりのサインです。
週に一度でいいので、「流した後の水位がいつも通りか」を見てください。
もし水位が高い日が増えてきたら、紙の使い方を減らす、洗剤+ぬるま湯で軽く当てるなど、軽いメンテで戻ることがあります。
おすすめの予防グッズと環境改善:買う前に“目的”を決める
予防グッズは、目的で選ぶのが失敗しません。
紙詰まりが多い家なら、真空式パイプクリーナーを常備すると心強い。
子どもがいる家庭で固形物リスクが高いなら、便器に落としにくい配置にする、棚の小物を減らす、フタを閉める習慣を作るだけでも事故が減ります。
また、掃除シートは「トイレに流せる」と書いてあっても、配管状況や使用量で詰まりの原因になることがあります。
不安があるなら、まとめて流さず、量を減らす、あるいは流さずゴミへ。これだけで再発が劇的に減る家庭は多いです。
Q&A(よくある質問とマニアックな疑問):7〜10問に本音で答えます
Q1:水位が高いけど、時間が経つと下がります。放置しても大丈夫?
下がるなら完全閉塞ではない可能性が高いです。
ただし放置すると残った紙が貼り付いて再発しやすいので、落ち着けるなら、ぬるま湯+中性洗剤でほどけを促し、試し流しで通水を確認するのが安全です。
Q2:スッポンは「押す」の?「引く」の?結局どっちが正しい?
密閉を作るために“ゆっくり押す”は必要です。
しかし詰まりを動かす局面では“勢いよく引く”を意識する方が安全なことが多いです。押し込みは固形物を奥へ送るリスクがあるため、引きで揺らす発想が失敗を減らします。
Q3:重曹とクエン酸って効きますか?
軽い汚れや臭い対策には選択肢になりますが、紙や固形物の詰まりを直接解決する力は限定的です。
詰まりの主因が“物理的な栓”である以上、まずは水位調整とラバーカップなど機械的な手段が優先されます。
Q4:熱湯を入れたら一発で直るって聞きました
“たまたま”直るケースはありますが、便器や配管の破損リスクを考えるとおすすめしにくいです。
温度を使うなら40〜50℃のぬるま湯に留め、時間を味方にする方が安全です。割れると修理費が桁違いになります。
Q5:ワイヤーを使ったら逆に悪化しませんか?
押し込みやすい道具なので、扱いを誤ると悪化します。
コツは“押す”より“回す”。抵抗が強いのに押すほど、異物は奥へ行きます。硬い感触があるなら、無理せずプロへ切り替えるのが結果的に安く済むことがあります。
Q6:賃貸ですが、管理会社に連絡するのはどのタイミング?
床に水が広がった、フチ近くまで水位が上がる、固形物を落とした可能性がある、近隣へ影響が出そう。
こうした条件があるなら、自己判断で粘るより早めに連絡した方が安全です。賃貸は“被害の拡大防止”が最優先です。
Q7:水位が低いのに流れが悪いのは詰まり?
軽い詰まりや、配管内の付着が増えて通水が細くなっている可能性があります。
音が重い、渦が弱い、最後の水位が不安定などのサインがあるなら、紙の使い方の見直しや軽いメンテで改善することがあります。
Q8:トイレ以外の排水口がゴボゴボ鳴きます。関係ありますか?
関係があります。
詰まりで空気が逃げられないと、別の排水口へ空気が移動して音が出ます。
複数箇所で症状が出る場合、共用配管や屋外桝など、トイレ単体以外の要因も視野に入れる価値があります。
Q9:一度直っても、すぐ再発します。なぜ?
詰まりが“完全に抜けていない”か、配管内に付着汚れが増えて引っかかりやすくなっている可能性があります。
再発が短期間で続くなら、便器の奥や配管側の点検(場合によっては高圧洗浄)を検討した方が、長期的にストレスが減ります。
Q10:業者を呼ぶとき、何を伝えればスムーズ?
「水位が下がるか」「固形物の心当たり」「何回流したか」「ラバーカップやぬるま湯を試したか」「他の排水口の症状」。
この5点を具体的に伝えると、原因の当たりが早く、余計な作業が減りやすいです。
まとめ:一番大事なのは、スッポンの前に“溢れない状態”を作ること
トイレ詰まりは焦るほど悪化しやすいトラブルです。
しかし、順番を守れば多くのケースで安全に復旧できます。今日のポイントを超要約します。
第一に、詰まったら何度も流さない。水位と音で状況を観察し、柔らかい詰まりか固形物かを考えます。
第二に、作業前に養生と止水、水位調整をして、失敗しても被害を広げない状態を作ります。
第三に、ラバーカップは密閉を作り、押し込みより引きで揺らす意識で進めます。
そして、固形物の可能性、賃貸での漏水リスク、何をしても変化がない状況では、無理に粘らずプロに切り替える。
これは“負け”ではなく、結果的に家とお金と心を守る判断です。
Next Step:読み終わったら最初にやる「1アクション」
まずは、トイレの前で深呼吸して、レバーに触れないと決めてください。
そのうえで、便器の水位を見て、5分待って下がるかを確認する。これが最初の一歩です。
下がるなら、養生→水位調整→正しいラバーカップへ。下がらない、固形物の心当たりがあるなら、被害拡大を止めて連絡へ。あなたの状況に合った最短ルートが、ここからはっきりします。

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