トイレの異臭、まずは「危険度」を切り分けましょう
トイレに入った瞬間、ツンと鼻を刺すような臭い。あるいは、じっとりとした下水っぽいにおいが消えない。掃除をしても、芳香剤を置いても、数時間〜翌日にはまた戻ってくる。
その状態が続くと、落ち着かないだけでなく、「配管が壊れている?」「下水が逆流する前兆?」「費用が高額になるのでは…」と、不安が一気に膨らみます。その気持ち、痛いほどわかります。トイレの臭いは生活の中心を直撃するトラブルで、我慢が効きません。
ただし、ここで大事なのは“原因を当てずっぽうで潰しに行かないこと”です。トイレの異臭は、封水(ふうすい)・換気・配管(排水・通気)・便器まわりの汚れなど、複数の系統が絡みます。順番を間違えると、時間もお金も無駄になりやすいのがこのトラブルの厄介な点です。
この記事では、トイレの異臭を「封水」「換気」「配管」の3系統から切り分け、さらに「自分でできる範囲」と「プロに任せる境界線」を明確にします。原因の特定から応急処置、再発防止、業者依頼の判断基準まで、まとめ記事では終わらない教科書レベルで深掘りします。
まず最初に、緊急度の判定です。次のような状況なら、今すぐの処置(使用中止・換気・止水)を優先してください。
すぐに処置が必要なケースとして多いのは、第一に「ゴボゴボと異音がして水位が大きく上下する」「便器の水面が泡立つ」「周辺の床が濡れている」「強い下水臭が突然発生した」など、排水の流れが不安定な兆候がある場合です。第二に「臭いと同時に頭痛・吐き気が出る」「目がしみる」など刺激が強い場合で、換気不良や薬剤反応の可能性もあるため、まず換気と退避を優先します。
一方で、落ち着いて対処できるケースは、第一に「掃除直後は改善するが数日で戻る」「特定の時間帯(風が強い日、雨の日)にだけ臭う」などパターンがある場合です。第二に「便器の水位は安定」「詰まりや逆流がない」など、水の動きが正常なら、切り分け手順に沿って原因を潰していける可能性が高いです。
※この記事は、住まい・生活トラブル分野の専門的知見を持つライターが、製品仕様や一般的な施工基準に基づき執筆しました。状況により専門業者の判断が必要な場合があります。
基礎知識(トラブルのメカニズム解剖):臭いが上がる「3つのルート」を理解すると迷いが消えます
トイレの臭いの正体は大きく分けて、第一に「便や尿由来の汚れが発する臭い」、第二に「排水管・下水由来のガス(硫化水素など)」、第三に「カビや湿気、換気不良による臭い」です。問題は、体感としては全部“トイレが臭い”にしか感じられない点です。
ここで鍵になるのが封水(ふうすい)です。便器には水が溜まっていますが、これは単なる残り水ではありません。排水管側から上がってくる下水ガスを、水のフタで遮断するための「封(シール)」です。この水が十分でない、または吸い出されると、臭いの通り道が開いてしまいます。
さらにトイレ空間は、換気扇や24時間換気で空気の流れが作られます。換気が弱い、または負圧(室内が外より強く吸い込む状態)が強すぎると、配管から微細な臭いが引き出されやすくなります。つまり、臭いは「汚れ」だけでなく「空気の流れ」でも強くなります。
そして配管。排水管には本来、排水をスムーズに流すための勾配と、トラップの封水を守るための通気(通気管・通気弁的役割)が必要です。ここが詰まり気味だったり、通気が不足していたりすると、排水時に負圧が発生して封水が引っ張られ、臭いが上がる条件が揃います。これが、封水・換気・配管が絡む理由です。
封水トラブルが起きる「物理」:なぜ水が減るのか
封水が減る代表原因は、第一に蒸発です。長期不在や乾燥が強い季節は、数日〜数週間で水位が落ちます。第二に自己サイホン・誘導サイホンです。便器の排水時に配管内で負圧が発生し、トラップの水が引きずり出されます。第三に毛細管現象で、異物(トイレットペーパーの繊維、汚れ、異物)が水を吸い上げてじわじわ減らすケースもあります。
「水は勝手に減らない」と思われがちですが、トラップはあくまで水で密閉する仕組みなので、物理条件が揃うと減ります。ここを理解すると、対処の順番が見えるようになります。
換気トラブルが起きる「空気」:臭いは“濃度”で感じます
臭いは、発生源が同じでも空間の空気交換が落ちると濃くなります。換気扇のフィルター詰まり、吸気口の閉鎖、ドア下の隙間不足、24時間換気の停止などが重なると、「臭いが消えない」状態に陥ります。
また、冬場に多いのが「換気扇は回っているのに臭いが強い」ケースです。暖房で室内が負圧になりやすく、トイレから見えない隙間(便器の根元、配管の貫通部、点検口)から臭いを吸い込みやすくなるためです。
配管トラブルが起きる「流体」:詰まり手前が一番臭いやすい
完全に詰まると水が流れなくなるため気づきます。しかし厄介なのは、完全詰まりの一歩手前です。流れが遅い、排水時にゴボゴボ音がする、他の排水(洗面・浴室)と連動して水位が揺れる、こうした状態では配管内に汚れが溜まり、ガスが発生しやすく、さらに封水も不安定になります。
放置のリスク:1週間後・1ヶ月後に起きやすいこと
「臭いだけだから」と放置すると、短期的にはまずトイレの使用頻度が下がり、封水の蒸発が進むという悪循環が起きます。つまり、臭いが気になって使わないほど、封水が減ってさらに臭いが強くなりやすい。これが1週間以内に起こりがちなパターンです。
さらに1ヶ月単位になると、換気不足と湿気が重なり、便器裏・床の継ぎ目・巾木(はばき)周辺に汚れが固着し、臭いが素材に染み込みます。すると原因を直しても、“部屋に臭いが残る”状態が続き、解決が難しくなります。
配管由来の場合はもっと深刻で、詰まりの進行や逆流リスクが上がります。特に集合住宅では、縦管(たてかん)側のトラブルが重なると、臭いだけでなく排水不良が連鎖しやすい点に注意が必要です。
準備編(プロが選ぶ道具と環境づくり):臭い対策は「鼻」より「手順」と「安全」が先です
トイレの異臭は、いきなり洗剤をぶち込むのが一番危険です。なぜなら、塩素系と酸性系が混ざると有毒ガスが発生する恐れがあるためです。したがって準備段階で、まず“何をしないか”を決めます。
第一に、作業前に換気を確保してください。換気扇を回し、可能なら窓を開け、ドアは少し開けて空気の逃げを作ります。第二に、止水栓の位置を確認します。万一、タンク内の水が止まらない・床が濡れるなどが起きた時に、即座に止水できる状態を作るためです。
必須道具:なぜそれが必要なのか、代用はできるのか
必要な道具は「臭いの原因を可視化する」ためのものが中心です。第一に使い捨て手袋(ニトリル推奨)です。ゴム手袋でも代用できますが、ニトリルは臭いが付きにくく、薄手でも破れにくいので作業性が上がります。第二に懐中電灯(スマホライトでも可)です。便器の根元、床との境目、タンク裏などは暗いので、照らして“濡れ・黒ずみ・結露”を見つける意味があります。
第三にキッチンペーパーまたは白いティッシュです。白い紙で拭くと、尿石由来の黄ばみ、カビ由来の黒ずみ、配管由来の汚水っぽい汚れを判別しやすい。第四に中性洗剤です。はじめは中性が基本で、いきなり強い洗剤に頼らないのがプロの順番です。
そして「封水確認」や「床の染み出し確認」に便利なのが、透明なコップ(捨ててもよいもの)です。便器に水を足す、あるいは水位の変化を観察する際に、量を一定にできるからです。
あると強い道具:DIYでも扱いやすい“原因特定”アイテム
ここからは、ホームセンターで手に入る範囲です。第一にpH試験紙です。尿石汚れはアルカリ性寄り、洗剤や酸性系の残留があると酸性寄りになるなど、目安として使えます。第二にシリコンシーラント補修用(防カビ)ですが、これは「原因が特定できてから」使います。先に塞ぐと、内部で水が回ってカビを育てることがあるためです。
100均代用については、手袋・ペーパー・スポンジ類は十分代用になります。しかし、シリコンや強い薬剤は品質差が出やすく、やり直しの手間が増えるので、気になる方は建材用の実績あるものを選ぶ人が多いです。
安全確保:やってはいけない“混ぜる”と“密閉”
トイレ臭対策で危険なのは、第一に塩素系漂白剤と酸性洗剤(サンポール等)を同日に使うことです。別日でも、流し切れていない残留があると反応する可能性があるため、基本は「同日に混在させない」と覚えてください。
第二に、臭いをごまかそうとしてドアを閉め切って芳香剤を多用することです。結果的に換気が落ち、臭いの原因が濃縮されます。芳香剤は“最後の仕上げ”で、切り分けが先です。
実践編(レベル別解決策):封水・換気・配管を“順番通り”に切り分ける
結論から言うと、切り分けの鉄則は「封水 → 便器まわりの汚れ → 換気 → 配管(排水・通気) → 建物側」です。理由は、封水は数分で確認でき、改善するなら費用ゼロで終わる確率が高いからです。逆に配管側から入ると、判断が難しく泥沼化しやすい。プロほど簡単なところから潰します。
【レベル1】初心者でも可能な初期対応(DIY):今日この場でできる「原因の特定」
ステップ1:臭いの“種類”と“出るタイミング”を言語化する
まず、鼻だけで頑張らず、紙にメモする感覚で「タイミング」を整理します。第一に「常に臭い」なのか、第二に「流した直後に強い」なのか、第三に「夜や雨の日に強い」なのか。これだけで、封水(常に臭い・不在後)、換気(夜や締め切りで強い)、配管(流した直後に強い・ゴボゴボ)という当たりが付いてきます。
ここで便利な“プロの裏技”があります。ラップを小さく切って便器の水面の一部にそっと浮かべ、流した後にどう動くかを見る方法です。封水が不安定だと、水面が波立ちやすくラップの揺れが大きく見えます。もちろん診断器ではありませんが、「水の落ち着き具合」を視覚化でき、初心者の判断ミスが減ります。
ステップ2:封水チェック(最短5分):水を足して臭いが止まるか
便器の水位が普段より低いと感じたら、まずコップ1〜2杯(合計300〜500ml程度)をゆっくり注いでください。このとき勢いよく注ぐと水が跳ねて周囲を汚すので、便器の内側を伝わせるように静かに入れます。
そして10分間、換気扇は回したまま、臭いがどう変化するかを観察します。ここで臭いが明らかに弱まるなら、封水が原因である可能性が高いです。多くのケースでは、長期不在、乾燥、排水時の吸い出し(サイホン)などが背景にあります。
ただし、ここで一時的に良くなっても、数時間〜翌日に戻る場合があります。その場合は「封水が減る原因」そのものが残っているので、次のステップへ進みます。
ステップ3:便器の根元・床の境目を“白い紙で”検査する
次にやるのは、目立たないけれど効く作業です。便器の根元と床の境目を、白いティッシュで5cmずつ区切る気持ちで拭いていきます。ここで黄ばみが付くなら、尿の飛び散りや尿石の可能性が高い。黒っぽいならカビ、茶色く濁るなら汚水や水漏れの疑いが出ます。
特に男性がいる家庭や、立って用を足す習慣がある場合、便器手前側の床や巾木に尿が入り込み、臭いの主因になりやすいです。「便器は掃除しているのに臭い」が続く場合、ここが盲点になりがちです。
ステップ4:換気チェック(最短3分):ティッシュで吸い込みを確認する
換気扇が原因かどうかは、難しそうで実は簡単に見られます。換気扇の吸い込み口(ルーバー)付近にティッシュを近づけ、ふわっと吸い付くかを確認します。吸い付かない、弱い場合はフィルター詰まりや換気経路不足が疑われます。
次に、トイレのドアを閉めた状態と、少し開けた状態で臭いの強さが変わるかを確認します。ドアを少し開けると臭いが軽くなるなら、換気経路(給気)が不足して負圧が強まり、臭いを引っ張っている可能性もあります。
ステップ5:配管チェック(音と水位):ゴボゴボ・他の排水との連動を見る
封水を足しても、根元を拭いても改善しない。換気も問題なさそう。その場合は配管の可能性が上がります。ここで見るポイントは、第一に流した直後のゴボゴボ音、第二に便器の水位が一瞬下がってから戻る、第三に洗面や浴室の排水を流したときにトイレが臭うという連動です。
特に「他の排水と連動して臭う」は、排水系統の通気不足や詰まり手前のサインになりやすいです。ここまで来たら、DIYでできる範囲とプロ領域の境界を意識しながら進めます。
【レベル2】専用道具を使った本格的な対処法:原因別に“効かせる”
封水が原因だった場合:なぜ減るのかを潰す(蒸発・吸い出し・毛細管)
蒸発が原因なら、まずは単純に定期的に水を足すことが再発防止になります。ただし根本対策としては、長期不在時に便器の水面にラップを軽くかけて蒸発を抑える方法を採る人もいます。密閉しすぎるとカビの温床になるので、あくまで短期の工夫として捉えてください。
吸い出しが疑わしい場合、ポイントは「一度の排水量を適正に」「詰まり気味を放置しない」です。大量のトイレットペーパーや節水しすぎは、配管内の流れを不安定にしサイホンを誘発します。結果的に封水が守れず臭いが戻る。節水目的でタンク内にペットボトルを入れる行為は、流れを弱める方向に働き、臭いトラブルの背景になりやすいので避けるのが無難です。
便器まわりの汚れが原因:尿石とカビを“分けて”落とす
汚れ由来の場合、いきなり強い薬剤に行くより、まず中性洗剤でベースを落とし「残る臭いが何か」を見極めます。中性で落ちない白っぽいザラつきが尿石です。ここで酸性洗剤が有効ですが、使用する日は塩素系は使わないと決めてください。
逆に黒ずみやヌメリが主体なら、カビ・バイオフィルムの可能性もあります。ただし塩素系は刺激臭が出やすいので、換気を確保し、少量から。やりがちなNGは「一気に濃い濃度で時短しようとする」ことです。結果的に臭いが室内に残り、別トラブルを作ります。
また、便器の根元のコーキング(シール)に臭いが染みている場合、表面だけ洗っても戻ります。この場合、コーキング内に尿が入り込んでいる可能性があり、“張り替え”が必要になることがあります。ここはDIYも不可能ではありませんが、漏水の原因にもなるため、判断は後述の「プロ依頼の境界線」で整理します。
換気が原因:換気扇だけ直しても直らない理由(給気がないと吸えない)
換気扇の掃除で改善するケースは多いです。ただし、換気扇だけきれいでも、部屋に空気が入って来なければ排気できません。これが“換気扇は回るのに臭いが消えない”の正体になりやすいです。
具体的には、給気口(居室側の吸気口)が閉まっている、フィルターが目詰まりしている、ドア下の隙間がカーペットで塞がっている、こうした状態だと換気が成立しません。ここを直すと、臭いが急に軽くなることがあります。
配管が原因(軽度):詰まり手前の汚れを流す“安全なアプローチ”
配管が疑わしいとき、強い薬剤で溶かす発想に行きがちですが、配管材質や詰まり方によっては逆効果です。ここでは、家庭で安全にできる範囲として、まずは「大量の水で流す」ではなく、「適正量で複数回、時間を空けて流す」方向を取ります。
具体的には、トイレの水を流すのは30分〜1時間おきにし、1回の流しでペーパーを大量に流さない。臭いが強いときほど、焦って何度も流したくなりますが、配管内の負圧を繰り返し作り封水を削ることがあります。
もし市販のパイプクリーナーを使うなら、商品の指示に従うのが前提です。ここでの重要ポイントは、第一に「別系統の洗剤と併用しない」、第二に「規定時間を超えて放置しない」、第三に「水で十分に流す」です。
【ケーススタディ】住居環境別の注意点:戸建てと賃貸で“できること”が違います
戸建ての場合:屋外の排水マスが“臭いの本丸”になることがある
戸建てでは、敷地内に排水マス(点検口)があり、そこに汚れや破損があると臭いが室内に回り込むことがあります。風向きや気圧で臭う日が変わるのは、このパターンで起きやすいです。
ただし排水マスの点検は、慣れていない場合は無理に開けないほうが安全な場面もあります。固着したフタをこじる、汚水を飛散させる、という二次被害が起こりやすいからです。「室内の封水は正常」「換気も正常」「風の強い日にだけ臭う」という時点で、業者点検の優先度が上がります。
マンション・アパート(賃貸)の場合:まず管理会社へ。専有部と共用部の境界が鍵
賃貸では、排水立管(縦管)や通気の問題が絡むことがあります。自室の対処だけで改善しない場合、原因が共用部にある可能性もゼロではありません。
ここで重要なのは、勝手に配管工事を進めると、費用負担の整理が難しくなることです。応急処置や掃除は構いませんが、「部品交換」「コーキングの打ち替え」「便器脱着」などは、管理会社・大家さんへの相談を挟む人が多いです。後々のトラブル防止という意味で、これは非常に現実的な判断です。
比較検討(自力 vs プロ依頼の最終判断):ここから先は“時間”と“失敗コスト”で決める
トイレの臭いは、DIYで直る領域も広い一方で、配管や設置不良が絡むと途端に難易度が上がります。判断の境界線を明確にします。
ここまでは自分でやってOKなのは、第一に「封水を足して改善する」「換気の改善で臭いが軽くなる」「便器周囲の汚れが原因と特定でき、清掃で改善する」など、原因が再現性を持って潰せる場合です。第二に「水位の大きな変動がない」「逆流や床濡れがない」など、配管トラブルの緊急性が低い場合です。
これ以上はプロ推奨なのは、第一に「ゴボゴボ音が強い」「他の排水と連動する」「封水がすぐ減る」など、通気・配管の関与が濃い場合です。第二に「便器の根元から汚水っぽい染み」「床が柔らかい」「便器がぐらつく」など、漏水や設置の問題が疑われる場合です。第三に「原因不明のまま2週間以上続く」場合で、臭いが素材に染み込み始める前に、早めに切り上げるほうが結果的に安く済むことが多いです。
| 比較項目 | DIY(自分で確認・対処) | プロ依頼(点検・修理) |
|---|---|---|
| 費用感 | 数百円〜数千円(洗剤・手袋・消耗品中心)。ただし誤った薬剤使用や再発で“積み上がる”ことがある。 | 点検・作業内容により数千円〜。配管洗浄、部品交換、便器脱着などで変動。再発防止まで一気に終わるメリットがある。 |
| 時間 | 切り分け〜清掃で半日〜数日。原因が外れると延々と試行錯誤になりやすい。 | 現地確認〜作業で数十分〜半日が多い。部品取り寄せや共用部絡みは別途日数。 |
| リスク | 洗剤の混用、コーキングの誤施工、無理な分解で悪化。原因が配管側だと見落としやすい。 | 費用が発生するが、原因特定が早い。保証・管理会社対応が必要な場合も整理しやすい。 |
| 向いている状況 | 封水・換気・尿石など、再現性が高い原因が疑える。水位は安定している。 | ゴボゴボ音、連動、封水がすぐ減る、漏水疑い、床の劣化、原因不明で長期化。 |
この表の読み解き方は、単純な「安い・高い」ではありません。トイレの臭いトラブルで怖いのは、“原因が違うのに同じ対処を繰り返して時間が溶ける”ことです。DIYが向いているのは、封水を足す・換気を整える・汚れを落とす、といった「結果がその場で目に見える」対処です。
一方で、配管や通気が絡むと、表面の掃除をいくら丁寧にしても臭いが戻ります。その状態で1〜2週間以上格闘すると、精神的にも消耗しますし、臭いが素材に染み込み、結果的に費用も増えがちです。迷っているなら、「封水を足しても戻る」「換気を整えても戻る」「水の挙動が怪しい」の3点が揃った時点で、プロ相談に舵を切るのが現実的です。
予防とメンテナンス(二度と繰り返さないために):トイレ臭は“習慣”で8割防げます
臭い対策は、特別な掃除よりも日常の積み上げが効きます。第一に、週1回は便器のフチ裏と水たまり付近を軽くこすり、汚れを固着させないことです。汚れが固まると、臭いが素材に残りやすくなります。
第二に、便器の根元と床の境目は月1回でいいので、白いティッシュでサッと拭いて確認します。ここで黄ばみが出る家庭は、トイレマットの洗濯頻度や、立って用を足す習慣の見直しが、臭いの再発防止に直結します。
第三に、換気は「回す」だけでなく「流す」です。給気口のフィルターは季節の変わり目に点検し、ドア下を塞がない。24時間換気を止めると、トイレだけでなく全体の臭い問題に波及することがあります。
おすすめの予防グッズとしては、第一に便器内の洗浄剤(ただし多用しすぎない)、第二にトイレ床用の拭き取りシート、第三に換気口フィルターが現実的です。いずれも「原因を消す」ではなく「原因を育てない」方向の投資です。
Q&A(よくある質問とマニアックな疑問):ここで詰まるポイントを先回りします
Q1:掃除した直後だけ臭いが消え、翌日戻ります。原因は何が多い?
掃除で一時的に消える場合、汚れ由来の可能性が高い一方で、封水が不安定だと「掃除で臭いが薄まっただけ」で翌日戻ることもあります。まずは封水を足して10分観察し、それでも戻るなら便器根元や床の汚れ、換気経路を順番に潰すのが効率的です。
Q2:長期不在の後に臭いが強烈です。すぐ直せますか?
長期不在後は封水の蒸発が典型です。コップ1〜2杯の水を足し、換気を回して30分ほど様子を見ると改善することが多いです。ただし戻る場合は、封水が減る原因(通気・詰まり手前)も疑う必要があります。
Q3:雨の日や風が強い日に臭います。家のせい?
気圧や風で臭いが変わるのは、屋外側の排水マスや通気条件が影響することがあります。室内の封水・換気・汚れが問題ないのに天候で変わるなら、戸建ては屋外点検、集合住宅は管理会社相談が視野に入ります。
Q4:便器の水位が下がります。詰まりですか?
詰まりだけでなく、蒸発、サイホン作用、通気不足など複数原因があります。水位が頻繁に下がる、ゴボゴボ音がある、他の排水と連動する場合は配管側の関与が強くなるため、早めの点検が安心です。
Q5:タンクレスでも臭いは封水が原因になりますか?
なります。タンクの有無は給水方式の違いで、便器のトラップ構造(封水)そのものは存在します。タンクレスだから封水が減らない、ということはありません。
Q6:芳香剤でごまかしてもいい?
短期的には構いませんが、原因が下水ガスや漏水の場合に見落としやすくなります。芳香剤は「最後の仕上げ」に回し、切り分けが先です。臭いが濃いほど、換気不足を疑って空気の流れを作るのが優先です。
Q7:パイプクリーナーを使えば一発で直る?
軽度の汚れには有効なことがありますが、通気不足、構造的な勾配不良、便器まわりの漏水などには効きません。また洗剤混用は危険です。使うなら製品の指示通り、他の薬剤と同日に使わないのが基本です。
Q8:便器の根元のコーキングが臭います。上から塗って塞いでいい?
原因が尿の染み込みなら、上から重ねても臭いが残ることが多いです。さらに内部に水が回っている場合、塞ぐことで乾かずカビを増やすリスクもあります。根元が濡れる、ぐらつく、汚水が出る場合はプロ推奨です。
Q9:賃貸ですが、まず何をすればいい?
応急の範囲(封水を足す、換気、清掃)は問題ありません。ただし配管洗浄や部品交換、便器脱着は費用負担と責任の整理が必要になることがあります。改善しない場合は、状態(いつから・どんな臭い・水位の変化)をメモして管理会社に相談すると話が早いです。
Q10:業者に頼むとき、何を伝えると的確に見てもらえる?
第一に「臭いの種類(下水っぽい、尿っぽい、カビっぽい)」。第二に「タイミング(常に、流した直後、雨の日、夜だけ)」。第三に「水の挙動(ゴボゴボ音、水位の上下、他排水との連動)」。この3点が揃うと、原因特定の精度が上がりやすいです。
まとめ:トイレの異臭は“封水・換気・配管”の順で切り分ければ迷いません
トイレの異臭が消えないとき、最短で解決するコツは、第一に封水を確認して足す、第二に便器まわり(根元・床・巾木)の汚れを白い紙で見える化、第三に換気の吸い込みと給気の経路を整えることです。ここまでで改善するなら、費用をかけずに解決できる可能性が高いです。
一方で、ゴボゴボ音、他の排水との連動、封水がすぐ減る、床濡れやぐらつきなどがある場合は、配管・通気・設置の問題が絡む可能性が高く、無理なDIYは遠回りになります。「水の挙動が怪しい」と感じた時点で、プロ相談に切り替えるのは賢い判断です。
最後に、あなたを安心させたいのは、「臭い=重大故障」と決めつけなくていい、ということです。原因は多くの場合、順番通りに切り分ければ見つかります。焦らず、しかし放置もせず、今日できる一歩から始めましょう。
Next Step:読み終わった瞬間にやるべき「最初の1アクション」
今すぐ、コップ1〜2杯の水を便器に静かに足して、10分間臭いがどう変わるか観察してください。これだけで、封水が原因かどうかの大きな分岐が取れます。もし改善しない場合は、白いティッシュで便器の根元を拭き、汚れの色を確認しましょう。そこから先は、この記事の手順に沿えば迷いません。

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