シロアリの侵入経路はどこ?家の弱点チェックと塞ぎ方

玄関や窓の近くで、見慣れない小さな羽アリを見かけた。床の角を指で押すと、なんとなく柔らかい気がする。壁際に土みたいな筋が走っていて、掃除してもまた出てくる。そんな瞬間、頭が真っ白になりますよね。「これ、もしかしてシロアリ?」と気づくまでの数秒は、誰でも心臓が縮むような怖さがあります。その気持ち、痛いほどわかります。

ただし、ここで大切なのは「焦って動き回らないこと」です。シロアリ対策は、正しい順番で進めるほど被害を小さくしやすく、逆に手当たり次第に塞ぐほど見えない場所で被害が進むことがあります。この記事では、シロアリの侵入経路(家の弱点)を特定する方法初心者でもできる塞ぎ方の実務、そしてプロに任せるべき境界線まで、家のタイプ別に徹底的に解説します。

最初に深刻度を分けます。すぐに処置(=むしろ“触らない”決断)が必要なケースは、室内で大量の羽アリが出た、床が沈む・柱が空洞っぽい、浴室や洗面台まわりの木が崩れる、基礎の内側で土の筋(蟻道)が多数ある、雨漏りや配管漏れが疑われる、こうした状況です。この場合は塞ぐ以前に、被害範囲の見立てが最優先になります。

一方で、落ち着いて対処できるケースもあります。例えば、屋外の古い木材や植木鉢の下にシロアリの気配があるが室内症状はない、羽アリは見たが少数で発生源が屋外っぽい、基礎周りに小さな蟻道が一本だけで室内木部に異常がない、こうした状況です。この場合は「侵入経路を潰し、環境改善で寄せ付けない」ことが効いてきます。

※この記事は、住まい・生活トラブル分野の専門的知見を持つライターが、製品仕様や一般的な施工基準に基づき執筆しました。状況により専門業者の判断が必要な場合があります。

目次

トラブルのメカニズム解剖:なぜシロアリは家に入れるのか

シロアリの侵入を理解する鍵は、「体の小ささ」より「生活戦略」にあります。シロアリは乾いた場所を長時間移動するのが得意ではありません。その代わり、土や泥で通路(蟻道)を作り、湿度を保ちながら木材まで到達します。つまり、家にできた湿気の溜まるポイント土から木へつながるルートがあると、彼らは“迷わず”侵入できてしまいます。

特に多いのが、基礎の立ち上がり、配管の貫通部、玄関ポーチや勝手口の土間、エアコン配管の穴、浴室の出入口周辺などです。これらは「家の構造上、穴や隙間が生まれやすい」「水を使う・結露する」「土と近い」という条件が重なります。すなわち、侵入経路は“偶然”ではなく“設計上の弱点”から生まれます。

また、シロアリは“木を食べる”と言われますが、実務的には木材そのものより「湿った木材」を好みます。雨水の跳ね返りが当たる土台、浴室の木枠、結露が続く押し入れの床下側、配管の微細な漏れがある周辺。こうした場所では、木材が柔らかくなり、侵入も加工も進みやすくなります。

さらに厄介:侵入口は「見える穴」ではなく「土からの接続点」

シロアリの侵入口は、ネズミのような「大きな穴」ではありません。多くの場合、基礎のわずかなクラック、配管の隙間、束石周りの土、犬走りの隙間など、ぱっと見は生活に支障がない程度の“僅差”です。そこから蟻道が立ち上がり、床下の土台へ到達します。だからこそ、侵入経路対策は「塞ぐ」だけでなく「土と木を切り離す」発想が重要になります。

放置のリスク:1週間後・1ヶ月後に起きうること

もし侵入の気配を放置した場合、1週間後に起きやすいのは、羽アリの再飛来や、室内での“ぽつぽつ”とした目撃の増加です。特に雨の翌日や暖かい日中、窓付近のカーテンに止まる、照明に寄る、窓枠の隙間から出てくる、といった形で目に入りやすくなります。その段階で掃除機で吸って終わりにすると、根本は残ったままになります。

1ヶ月後になると、リスクは「可視化」から「構造への影響」に寄ります。床がきしむ、巾木(壁の下の板)が浮く、ドアの開閉が微妙に重い、浴室出入口の木が欠ける、こうした“違和感”が増えます。シロアリ被害は、ある日突然崩壊するというより、静かに支持力が減り、ある日生活が不便になる形で進みます。だからこそ、侵入経路のチェックと封鎖は「早いほど得」です。

準備編:プロが選ぶ道具と環境づくり(安全と精度が9割)

侵入経路のチェックと塞ぎ方は、やみくもにコーキングを打つ作業ではありません。まずは「どこが弱点か」を見つけ、その上で「どの材料で」「どの順番で」「どこまで」塞ぐかを決めます。ここが曖昧だと、塞いだつもりが別ルートを作るだけで終わることがあります。

必須道具:なぜそれが必要なのか、100均で代用できるのか

第一に必要なのは、点検用のライトです。スマホのライトでも代用できますが、床下点検口や基礎の内側を覗くときは、両手が空くヘッドライトが有利です。100均の簡易ヘッドライトでも“見えないよりはマシ”ですが、電池が急に切れると焦るので、作業前に新品電池に替えるのが安全です。

第二に必要なのは、細い棒状の器具です。プロは千枚通しやアイスピックのようなものを使い、木部の“芯”を確かめます。100均のキリでも代用できますが、先端が鈍いと木を無理に割ってしまい、被害の判断を誤ることがあります。ポイントは、「軽く刺して、入るか入らないか」で判断することです。力任せに押し込むと、健全な木でも傷つきます。

第三に用意したいのが、記録用のスマホと養生テープです。侵入経路の特定は、写真で残すと精度が上がります。さらに、怪しい箇所に養生テープで印をつけておけば、後日の点検や業者説明がスムーズになります。養生テープは100均でも十分ですが、剥がしたときにベタつかないものを選ぶと原状がきれいです。

そして、塞ぐ作業に使う資材として、屋外用のコーキング(変成シリコン系など)、気密パテ、配管スリーブ用の隙間材、必要に応じて防虫網やパンチング材が候補になります。ただし、ここで誤解が多いのが、「コーキング=万能」ではないことです。湿気が抜けるべき場所まで塞ぐと、別のトラブル(結露・腐朽・カビ)を呼びます。材料は“穴の性質”で選びます。

安全確保:養生・服装・換気のリアル

床下に入る、あるいは基礎周りを覗き込む作業がある場合は、長袖長ズボン、手袋、マスク、できればゴーグルを用意してください。床下はホコリだけでなく、古い断熱材の繊維が舞うことがあり、目と喉がやられます。夏場は熱中症リスクもあるので、10分作業したら2分休む、といった“刻み”が現実的です。

また、室内側でコーキングやパテを使う場合は、窓を少し開けて換気し、床に養生シートや古い段ボールを敷いておくと、後始末が圧倒的に楽になります。作業の失敗は「材料選び」より「準備不足」から起きることが多いので、ここは丁寧にいきましょう。

実践編:レベル別・侵入経路チェックと塞ぎ方(ここが最重要)

ここからは、実際に“どこを見るか”“どう塞ぐか”を、レベル別に分けて解説します。先に結論を言うと、侵入経路対策は「見つける」→「ふさぐ」→「再確認」の循環です。1回で完璧を狙うより、確度の高い弱点から潰していく方が成功率が上がります。

【レベル1】初心者でも可能な初期対応(DIY):まずは弱点の「見える化」

最初の目的は、家の弱点を“地図化”することです。具体的には、家の外周をゆっくり一周し、基礎の立ち上がり、配管の出入り、エアコン配管、玄関まわり、勝手口、給湯器周辺、水栓柱周辺を見ます。このとき、歩く速度は“散歩より遅く”がコツです。速いと見落とします。

チェックの要点は、第一に、基礎と外構の取り合いです。犬走りや土間が基礎に接している部分に、細い隙間やひびがないかを探します。第二に、配管が壁や基礎を貫通する部分の隙間です。ここに土埃が詰まっていたり、雨だれの跡があったりすると、湿気の通り道になっている可能性があります。第三に、換気口(基礎換気)や通気口が泥や枯葉で塞がれていないかです。通気が悪いと床下湿度が上がり、侵入しやすさが上がります。

屋内のチェックも続けます。浴室の出入口、洗面台下、キッチンシンク下、トイレの床周り、玄関框(かまち)周辺、窓枠の下部、押し入れの床。ここでチェックする感覚は、「湿り気」「粉」です。触って冷たい湿気が続く、木粉のようなものが出る、軽く押すと沈む。この三つは“要注意サイン”になります。

実況中継:室内で羽アリを見たときの「まずやる順番」

羽アリを見たら、まずはスマホで動画を撮ってください。ここでの目的は“数”と“出てくる場所”を記録することです。次に、窓を全開にしないでください。明かりや風で散ってしまうと、発生地点が分からなくなります。そこで、カーテンを閉め、照明を落とし、羽アリが集まりやすい場所に寄せてから、掃除機で吸う、あるいはテープで捕るのが実務的です。

そして、捕った個体は、袋に入れて保管しておくと判断がしやすくなります。シロアリの羽アリと、クロアリの羽アリは似ていますが、専門家の判別や相談時にサンプルがあると話が早いです。ここでのポイントは、駆除スプレーでその場を「一掃」しないことです。気持ちは分かりますが、薬剤で散ってしまうと、侵入経路の推定が難しくなります。

塞ぐ前に必ずやる:床下の「入口」候補を絞る

レベル1の段階では、いきなり全てをコーキングせず、候補を3つ程度に絞るのがおすすめです。例えば、浴室側の基礎貫通部、エアコン配管穴、玄関ポーチと基礎の境目。こうした“ありがちな弱点”を先に押さえ、次の週に再点検して変化を見る。この反復で、侵入経路が浮かび上がります。

【レベル2】専用道具を使った本格的な対処法:弱点の塞ぎ方(失敗しない施工)

ここからは、実際に塞ぐ作業に入ります。ただし前提として、「塞ぐ=シロアリを止める」ではなく「侵入しにくい環境に戻す」という考え方です。すでに床下で活動している場合、塞いでも別ルートを探します。だから、塞ぐ作業は“予防と再侵入防止”としての価値が大きい、と理解して進めてください。

外周の基本:基礎と外構の取り合いは「硬い材料×柔らかい材料」で考える

基礎と犬走りの境目など、動きが出やすい場所は、硬いモルタルで埋めるとひび割れを起こしやすいです。そこで、動きに追従しやすい変成シリコン系のシーリング材を使うと、割れにくくなります。施工のコツは、隙間に直接たっぷり打つ前に、奥行きが深い場合はバックアップ材を入れて“適正な厚み”に整えることです。厚すぎると乾きにくく、薄すぎると割れやすくなります。

また、雨が当たる場所は、表面が滑らかになるようにヘラで押さえ、雨水が溜まらない形に整えてください。ここで中途半端に凹ませると、雨水が溜まり、かえって湿気ポイントを作ります。「塞いだのに湿気を増やした」という失敗は、現場で本当に多いです。

配管貫通部:気密パテとシーリングの使い分け

配管や電線の貫通部は、動きが少ないなら気密パテが手早く、撤去もしやすいです。賃貸や将来の配管交換があり得る場所では、硬化する材料を避け、パテで“ふさぐだけ”に留める判断も有効です。一方で、屋外で水がかかる、紫外線が当たる場所では、パテが劣化しやすいので、外周はシーリング材、内側はパテ、と二段構えにすると安定します。

施工中にありがちなNGは、汚れた面にいきなり打つことです。土やコケが残ると密着せず、隙間が復活します。最低でもブラシと中性洗剤で汚れを落とし、乾いたタオルで水分を拭き、10分以上乾かしてから施工すると成功率が上がります。冬場は乾きが遅いので、ドライヤーの温風を短時間当てると作業が捗りますが、シーリング材に直接当てすぎないように注意してください。

エアコン配管穴:本当に弱いのは「穴」ではなく「ドレン水の扱い」

エアコンの配管穴は、隙間そのものも問題ですが、もっと怖いのはドレン水です。ドレンが外壁に沿って垂れている、犬走りに水たまりができる、室外機の周辺が常に湿る。こうなると、床下や基礎周りの湿度が上がり、シロアリが寄りやすい状態になります。したがって、穴を塞ぐだけでなく、ドレンホースの先を適切に誘導し、水が溜まらないようにすることが重要です。

具体的には、ドレンの先端が地面に刺さっていないか、苔が生えていないかを確認し、必要ならドレン用の延長や先端パーツで排水位置を変えます。ここは“侵入経路”というより“誘引要素”ですが、被害の出方に直結するので軽視しないでください。

床下点検ができる場合:蟻道の見つけ方と「壊し方」の注意

床下点検口があり、無理のない範囲で覗ける場合、基礎の内側、束石、土台、配管付近をライトで観察します。蟻道は土が固まったような筋で、柱や基礎に沿って伸びます。見つけたとき、つい壊したくなりますが、壊すだけでは根治しません。むしろ、壊すとシロアリが別ルートを作り、次の発見が遅れることもあります。

ここでの実務的な対応は、まず写真と動画で記録し、養生テープで位置をマーキングし、可能なら周囲の湿り気(濡れているか、結露があるか、配管のにじみがあるか)を確認します。蟻道に触るのは最後で、どうしても確認したいなら、端を1cmだけ崩して中の状態を見る程度に留めます。中がしっとりしていて、白い個体が動いているなら、活動性が高い可能性があります。その時点で、塞ぎ作業よりも専門点検の優先度が上がります。

【ケーススタディ】住居環境別の注意点:戸建てと賃貸で「守るべきもの」が違う

戸建ての場合:外周対策と床下環境の改善が直結する

戸建ては、外周を施工できる自由度が高い反面、床下環境の差が大きいです。例えば、庭木の剪定後の枝が基礎近くに積まれている、古い枕木やウッドデッキの端が土に触れている、雨どいの排水が基礎に当たっている。こうした要素が、侵入経路の“入口”になります。したがって、穴を塞ぐだけでなく、土に触れた木材を撤去する、雨水の流れを変えるといった環境改善が効いてきます。

また、床下換気の状態も重要です。通気口が塞がっている、基礎パッキン周りに土が盛られている、断熱材が落ちて通気を阻害している。こうした状態は湿気を溜めます。戸建ての場合、侵入経路対策は「家の周りの水と風の設計を取り戻す作業」だと捉えると、やるべきことが整理できます。

マンション・アパート(賃貸)の場合:勝手に塞がず「管理の線引き」を守る

賃貸は、原状回復と管理規約が関わります。外壁貫通部や共用部分に近い箇所を勝手にコーキングした結果、退去時に原状回復費用が発生するケースもあります。したがって、賃貸ではまず、室内側でできる「可逆性の高い対策」から始めるのが安全です。具体的には、配管周りは気密パテ、換気口は防虫網の追加(取り外し可能な形)、ドア下は隙間テープなど、撤去できる素材を選びます。

また、シロアリは床下や建物全体に関わることがあるため、被害が疑われるときは管理会社・大家へ早めに連絡する方がトラブルが少ないです。自分で塞いで“見えなくなった”後に被害が拡大すると、責任範囲の話がややこしくなります。賃貸での侵入経路対策は、「施工」より「記録と報告」が価値になる場面が多い、と覚えておくと安心です。

比較検討:自力 vs プロ依頼の最終判断(ここで迷いを終わらせる)

侵入経路を塞ぐ作業はDIYでも可能です。しかし、シロアリの場合は「塞ぐ」の前に「被害の有無」を見立てる必要があります。したがって、判断の境界線を明確にします。ここまでは自分でやってOKなのは、外周の小さな隙間塞ぎ、換気口周りの清掃、雨水の流れの改善、室内側の可逆的な隙間対策、そして記録の整理です。

一方で、これ以上はプロの領域になるのは、床が沈む・木が崩れるといった構造兆候がある、床下で複数の蟻道がある、羽アリが大量に出る、浴室や水回りで木部破損がある、雨漏り・配管漏れが疑われる、こうした状況です。ここでDIYで塞ぐと、被害の進行を止められないばかりか、点検が遅れて修繕費が膨らむことがあります。

比較軸DIY(自力)プロ依頼(点検・施工)
費用材料費中心。小規模なら数千円〜。ただし“見落とし”があると結果的に高くつく可能性。点検費や施工費が発生。範囲と工法で変動。ただし被害の見立てと再発防止を同時に進めやすい。
時間半日〜数日。調査とやり直しで延びやすい。記録を残すと効率が上がる。点検は短時間で終わりやすい。施工は範囲次第だが、作業が体系化されている。
リスク被害の見落とし、湿気を閉じ込める施工、共用部の誤施工、記録不足による判断ミス。業者選定の良し悪し。見積もりや保証条件の確認が必要。相見積もりで透明性が上がる。
メリットすぐ着手できる。外周の環境改善など、長期的に効く習慣が作れる。侵入経路だけでなく“被害範囲”まで判断できる。工法により再発リスクを下げやすい。

この表の読み方はシンプルです。DIYは「今すぐできる」代わりに、「どこまでやれば十分か」を自分で決めなければいけません。一方でプロ依頼は費用が発生しますが、“被害があるかないか”の不安を決着させられるのが最大の価値です。迷っているなら、まずはDIYで外周の清掃と記録を整えた上で、プロに「この写真とメモの範囲で点検してほしい」と伝えると、話が早くなります。焦りのまま電話するより、はるかに納得感のある判断ができます。

予防とメンテナンス:二度と繰り返さないために(侵入経路は“日常”で育つ)

シロアリの侵入経路対策は、一度塞いで終わりではありません。なぜなら、家は季節で動き、外構は雨で変わり、生活の湿気は日々積み上がるからです。予防の本質は、「湿気をためない」「土と木を近づけない」「水の流れを整える」の三本柱です。

日常でできる“ながら点検”としては、雨の翌日に家の外周を見て、基礎周りに水たまりができていないか、雨どいから水が跳ねていないか、ドレン水が溜まっていないかを確認します。頻度は月1回が理想ですが、難しければ季節の変わり目だけでも効果があります。視点は「水」です。水の跡がある場所は、侵入経路の候補になります。

室内は、水回りの収納を開けたときの“空気”で判断できます。カビ臭い、湿っぽい、冷たい。こう感じたら、換気を増やし、収納物を一度出して乾かし、床や壁の結露を拭きます。さらに、配管のつなぎ目に紙を当ててみて、にじみがないかを確認すると、早期に漏れを見つけられます。こうした小さな習慣が、シロアリにとっての“住みやすさ”を削ります。

おすすめの予防グッズと環境改善アイデア(安全に長く効かせる)

予防グッズは、薬剤より先に“環境”を整えるものが優先です。例えば、基礎換気口の前に落ち葉が溜まる家なら、落ち葉除けの網や簡易のガードが効きます。エアコンのドレンで湿るなら、排水位置を変えるパーツが効きます。庭に木材が積まれているなら、木材を地面から浮かせるブロックが効きます。これらは家に優しく、失敗しても被害が出にくい対策です。

薬剤系の予防を考える場合は、床下への処理や土壌処理など、家の構造に直結します。ここは自己判断での施工より、専門家の点検と合わせて検討する方が安全です。なぜなら、薬剤を撒くことが目的ではなく、“必要な箇所に必要量を、適切な方法で”が成果を左右するからです。

Q&A:よくある質問とマニアックな疑問(判断に迷うところを全部潰す)

Q1. 羽アリが1匹だけでも、シロアリ確定ですか?

1匹だけでは確定とは言いにくいです。風に乗って迷い込むこともあります。ただし、同じ窓際で数日にわたり見かける、夜に照明へ集まる、窓枠の隙間から出るように見える、こうした条件が重なると可能性が上がります。まずは動画と写真で記録し、出た場所と時間帯をメモして次の判断材料にしてください。

Q2. 「土の筋みたいなもの」が基礎にあります。触っていい?

触る前に撮影が先です。土の筋が蟻道の場合、壊すと別ルートを作られることがあります。どうしても確認したいなら、端を1cmだけ崩して中が湿っているかを見ますが、複数ある場合や木部まで繋がっている場合は、触るより点検の方が安全です。

Q3. 侵入経路を全部コーキングすれば安心ですか?

安心につながることは多いですが、「全部」には落とし穴があります。換気や排水の逃げ道まで塞ぐと、湿気が増え、別の弱点が生まれます。コーキングは“雨水が入り込む隙間”や“貫通部の隙間”など、性質が明確な箇所に絞り、通気は確保するのが基本です。

Q4. 市販の殺虫スプレーを室内で使えば解決しますか?

見えている個体は減らせますが、根本解決にならない可能性が高いです。シロアリは巣や床下で活動することが多く、表に出た個体だけを減らしても、再発することがあります。さらに、散ってしまうと侵入経路が追いづらくなるため、まずは記録と経路特定を優先するのが安全です。

Q5. 床が少し沈む気がします。DIYで点検していい?

床の沈みは、シロアリ以外にも腐朽や施工の問題があり得ます。ただし、構造に関わるサインなので、DIYで無理に床下へ入るより、専門家に点検を依頼した方が結果的に早くて安全です。自分でできるのは、沈む場所をテープで囲って記録し、いつからか、雨の日に変化するかをメモするところまでに留めるのがおすすめです。

Q6. 古い家で床下点検口がありません。侵入経路はどう探す?

点検口がない場合は、外周と水回りの兆候から“推定”するのが現実的です。具体的には、浴室周辺の木部、配管の貫通部、玄関付近の土間、外壁に沿った雨水の跡を見て、候補を絞ります。点検口の新設は工事になりますが、被害が疑われる場合は点検の価値が高いので、業者に相談するのが合理的です。

Q7. 防蟻シートや網は自分で貼れる?

状況によります。露出している隙間や換気口周りなど、アクセスできるところはDIYでも可能です。ただし、床下全体に関わる施工は、隙間が残ると効果が落ちます。DIYでやるなら、まず“取り外し可能”で“部分施工”に留め、広範囲はプロに任せるのが失敗しにくいです。

Q8. 換気を増やせばシロアリは来ませんか?

換気は重要ですが、単独では十分ではないことが多いです。シロアリは湿気を好むため、床下や水回りの湿度を下げることは有効です。しかし、土と木が接している、雨水が当たる、貫通部が開いている、といった“入口”が残ると侵入し得ます。換気は“住みやすさを下げる”、封鎖は“入口を減らす”。両方が揃うと強いです。

Q9. 近所でシロアリ工事をしていました。うちも危ない?

近所の発生が“即=自宅の被害”ではありませんが、地域や土地条件(湿地、川沿い、古い住宅地)でリスクが上がることはあります。こういうときは、外周の水回りと基礎周りの点検をして、弱点を先に塞いでおくと安心材料になります。

Q10. 「プロだから知っている裏技」ってありますか?

あります。ただし魔法ではなく、地味だけど効く話です。プロが現場でよくやるのは、雨上がりに外周を見て“濡れ方のムラ”を探すことです。乾きにくい場所=湿気が溜まる場所であり、侵入経路や誘引ポイントになりやすいからです。逆に、私が見た失敗談で多いのは、見た目をきれいにしたくて外周の隙間を全部モルタルで埋めた結果、ひび割れと水溜まりができて、数ヶ月後に別の場所から被害が出たケースです。だから、塞ぐときほど「水が溜まらない形」に仕上げる。この一手間が、結果を分けます。

まとめ:侵入経路対策は「順番」と「水」を制すること

シロアリの侵入経路は、派手な穴ではなく、基礎の取り合い、配管貫通部、エアコン配管穴、水回りの湿気といった“家の弱点”に潜みます。したがって、まずは外周と室内のポイントをゆっくり点検し、写真とメモで地図化することが最初の勝ち筋です。その上で、通気を塞がないよう注意しながら、性質の合う材料で封鎖し、雨水と湿気の流れを改善します。

そして何より、床が沈む、木が崩れる、蟻道が複数ある、羽アリが大量に出る、といった兆候があるなら、塞ぐより先にプロ点検を優先してください。“心配を先延ばしにしないこと”が、家と家計を守ります。

Next Step:読み終わったら、今すぐ外に出て、家の外周を一周しながら「基礎と外構の境目」「配管の貫通部」「エアコンの配管穴」「雨水の当たり方」をスマホで10枚撮ってください。写真が揃うだけで、次の打ち手が驚くほどクリアになります。

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