エアコンをつけた瞬間、鼻に刺さるようなイヤなニオイがした。カビ臭いだけでなく、焦げたような匂い、プラスチックが熱で溶けるような匂い、酸っぱい匂い。しかも、しばらくすると薄れることもあれば、どんどん濃くなることもある。暑い(寒い)から止めたくないのに、「これ、危ないやつ?」と手が止まる。その不安と焦り、痛いほどわかります。
エアコンのニオイは、単なる汚れやカビの問題で済むこともあります。しかし一方で、焦げ臭い匂いは電気トラブルや発火リスクの前兆になっている可能性もあり、ここは“見極め”が重要です。さらに厄介なのは、カビ臭と焦げ臭が混ざって区別しにくいこと、そして家族の体調や生活事情で「止める決断」が難しいことです。
この記事では、まず使用中止を強く推奨する危険サインと、落ち着いて対応できる可能性が高いケースを分けます。そのうえで、ニオイのメカニズムを構造から解説し、レベル1(初心者DIY)からレベル2(ホームセンター道具での対処)まで手順を実況中継のように示します。最後に、プロ依頼の境界線と費用感の考え方、そして再発予防まで、これ一本で迷いが消える状態を目指します。
最初に大切なことをお伝えします。焦げ臭い可能性があるときに、やってはいけないのは「確かめるために運転を続ける」ことです。ニオイは目に見えないので、つい“もう少し”と様子を見たくなります。しかし電気系の異常は、短時間で悪化することがあります。だからこそ、この記事は「止めるべきなら止める」「止めなくてよいなら根拠を持って進む」という順番で設計しています。
※この記事は、住まい・生活トラブル分野の専門的知見を持つライターが、製品仕様や一般的な施工基準に基づき執筆しました。状況により専門業者の判断が必要な場合があります。
トラブルのメカニズム解剖:エアコンのニオイはどこから来るのか
エアコンのニオイ問題は、単に「汚いから臭う」という話ではありません。原因が分かりにくいのは、エアコンが空気を吸って、冷やして/温めて、また吐き出すという循環装置だからです。部屋の空気中には、目に見えない粒子(ハウスダスト、皮脂、煙、料理の油分、洗剤成分、香料など)が常に漂っています。エアコンはそれを吸い込み、内部で濡れたり乾いたりする環境を作り、結果としてニオイの“材料”が内部に蓄積します。
カビ臭の正体:熱交換器と送風路の「濡れ→乾き」がカビを育てる
冷房・除湿運転では、熱交換器(アルミのフィン)が冷やされ、空気中の水分が結露します。結露水はドレンパンに落ち、ドレンホースから排水されます。しかし、運転を止めると内部は湿ったままになりやすく、ここに埃や皮脂、油分が乗っていると、カビにとって好環境が成立します。すると、運転開始時に送風でカビ臭が一気に吹き出し、「最初だけ臭い」「しばらくすると慣れる」という現象が起きやすくなります。
焦げ臭の正体:電気部品の発熱、接点の焼け、埃の炭化
焦げ臭いニオイは、より慎重に扱うべきです。エアコン内部には、基板、リレー、モーター、コンデンサなど電気部品があり、通電時に熱を持ちます。通常は設計範囲で安全に動きますが、接点が劣化して抵抗が増える、配線が緩む、埃が溜まって熱が逃げない、虫が入り込んで短絡する。こうした条件が重なると、局所的に発熱し、樹脂や埃が熱で変質して焦げ臭さが出ることがあります。これは“カビ臭より危険度が上がりやすい”ため、判断の基準を明確に持つ必要があります。
酸っぱい・ツンとするニオイ:生活臭の吸着、化学臭、そして注意点
酸っぱいニオイやツンとした刺激臭は、汗や皮脂由来の生活臭が内部に吸着している、喫煙や料理の揮発成分が残っている、あるいは清掃スプレーや芳香剤の成分が反応している可能性があります。さらに、まれにですが、電気部品の劣化で化学臭が出ることもあります。ここは「鼻が痛い」「目がしみる」など体感の強さも判断材料です。刺激が強いなら、無理せず停止して換気し、次の章の危険判定へ進んでください。
放置のリスク:1週間後、1ヶ月後にどうなるか
カビ臭を1週間放置すると、まず室内の空気質が悪化し、喉のイガイガ、くしゃみ、目のかゆみなどが出る人がいます。特に小さな子どもやアレルギー体質の人がいる家庭では、体調面の影響が出やすいです。さらに、カビは繁殖サイクルが早く、湿度が高い時期には内部の汚れが加速度的に増えます。
1ヶ月放置すると、ニオイの強さだけでなく、風量低下や冷えにくさ(暖まりにくさ)につながることがあります。汚れが熱交換効率を落とし、電気代が上がり、室外機の負荷も増えるため、機器全体の寿命にも影響します。焦げ臭系の可能性を放置した場合はさらに深刻で、発熱が繰り返されることで部品劣化が進み、最悪の場合は事故につながるリスクを完全には否定できません。だからこそ、焦げ臭い疑いがあるなら、早めに「止める/相談する」判断が価値になります。
プロが選ぶ道具と環境づくり:ニオイ診断は“安全確認”が土台
ニオイ問題の切り分けは、やみくもに掃除を始めるより、まず安全を確保し、状況を記録するほうが賢明です。特に焦げ臭が疑われるときは、通電を続けないことが最優先です。
必須道具:スマホ、懐中電灯、乾いた布、ゴム手袋
第一にスマホ。ニオイ自体は録れませんが、室内機の表示ランプ、異音、異常な煙の有無などを動画で記録できます。第二に懐中電灯(スマホライトでも可)。吹出口の奥や吸い込み口を照らして、黒カビの付着やホコリの塊を確認します。第三に乾いた布。外装の拭き取りや、ルーバー周辺の軽い清掃に使います。第四にゴム手袋。カビ汚れに触れる際の衛生面と、手が濡れた状態で電源周りに近づかないための意識づけにもなります。
あると便利:温湿度計、マスク、養生シート
室内の湿度が高いほどカビ臭が強くなりやすいので、温湿度計があると「環境要因」も見えます。マスクは、カビ臭が強いときの不快感を減らし、掃除中の吸い込みを軽減します。床や家具に汚れ水が落ちるのを防ぐために、室内機下にビニールやタオルで養生するのもプロの基本です。
安全確保:作業前に必ずやる3つのこと
第一に換気です。窓を少し開け、空気の逃げ道を作ります。第二に手を乾かすこと。汗をかいているときはタオルで拭き、濡れ手でコンセント周辺に近づかない。第三に、焦げ臭がある場合は、運転停止のうえ、可能ならエアコン専用ブレーカーを切り、通電を止めます。ここを曖昧にすると、後の対処の安全性が落ちます。
最重要:使用中止を判断する危険サインと、今すぐの安全確認
ここでは、できるだけ曖昧さを排除してお伝えします。焦げ臭い疑いがあるとき、悩む時間が長いほどストレスが増えます。そこで、危険度を“段階”で整理します。
今すぐ使用中止を強く推奨:迷ったら止めるべきサイン
プラスチックが焼けるようなニオイがする、焦げ臭さが運転中に増える、コンセントやプラグ付近が熱い、または触れなくなるほど熱い。さらに、煙が見える、室内機や室外機付近でパチパチ音がする、ブレーカーが落ちる、復帰してもすぐ落ちる。これらは電気的な異常の可能性があり、使用中止が安全寄りの判断になります。
この場合の安全確認は、第一にリモコンで停止。第二にエアコン専用ブレーカーを切る。第三に窓を開けて換気。第四に、火花や煙が続くなら周囲の可燃物を遠ざける。ここまでです。ここでコンセントを抜きたくなる気持ちは分かりますが、プラグが熱い場合や、壁コンセントが変形している場合に無理に抜くと危険なことがあります。ブレーカーで止めるほうが安全なケースが多いです。
注意して様子を見る余地がある:ただし“確認手順”は必要
運転開始直後だけ軽く臭って、数分で消える。カビ臭や湿ったタオルのような臭いが中心で、焦げた感じがない。コンセント周りに発熱がない。ブレーカーも落ちない。こうした場合は、汚れや湿気が原因である可能性が高く、DIYで改善する余地があります。ただし、ニオイが強い、体調が悪くなる、目や喉が刺激されるなら、無理に我慢せず、換気と停止を優先してください。
“焦げ臭い気がする”を見分けるコツ:鼻だけで判断しない
ニオイは主観が入りやすいので、プロは複合情報で判断します。具体的には、ニオイに加えて、発熱、異音、ランプ点滅、運転の不安定さ、ブレーカー挙動を見ます。焦げ臭で本当に危険なケースでは、これらがセットで出ることが多いです。逆に、カビ臭系では、風に乗って出るが、発熱やブレーカー異常は伴いにくい傾向があります。
【レベル1】初心者でも可能な初期対応(DIY):まず“臭いの種類”を切り分ける
レベル1の目的は、原因を確定することではなく、危険を避けつつ、原因の方向性を絞ることです。ここでの最大のポイントは、焦げ臭疑いがある場合は“掃除より先に停止”であること。安全が確保できたら、順番に確認します。
手順1:運転モードとタイミングでニオイの性質を掴む
まず冷房(または除湿)で臭うのか、暖房で臭うのかを確認します。カビ臭は冷房・除湿で出やすく、暖房で出にくいことがあります。一方で、暖房は内部が温まり、樹脂臭やホコリの焦げに近い臭いが出やすい場合もあります。特にシーズン初回の暖房で「ホコリが焼けるような臭い」を感じることがありますが、通常は短時間で落ち着くことが多いです。ただし、焦げ臭が強い、目にしみる、長く続くなら、仕様と決めつけず次の手順へ進みます。
手順2:吹出口の奥をライトで照らす(黒い点々は要注意)
運転停止後、前面パネルを開け、吹出口の奥(ルーバーの内側)をライトで照らします。黒い点々や、綿ぼこりの塊、ベタついた汚れが見える場合、カビや油分の蓄積が疑われます。ここで無理に奥まで拭き込むのは避けてください。ルーバーや内部のフィンは繊細で、曲げると風向き不良や異音の原因になります。まずは「見える範囲の観察」と「フィルター清掃」からが安全です。
手順3:フィルターを外して目視、そして掃除(ここは効果が出やすい)
フィルターに埃が詰まると、湿気が残りやすくなり、ニオイの原因になります。フィルターを外して白っぽく目詰まりしていたら、掃除機で表面を吸い、必要なら水洗いします。水洗いした場合は、陰干しで完全に乾かすことが重要です。半乾きで戻すとカビの餌を増やすことになり、臭いが悪化しやすいです。
手順4:送風運転で“乾燥”させる(臭い対策として理にかなっている)
カビ臭が主体で、危険サインがない場合、送風運転が有効なことがあります。送風は冷媒を使わず、内部を乾かす方向に働くためです。やり方は、フィルター清掃後に送風運転を30〜60分行い、内部の水分を飛ばします。夜間に音が気になる場合は、風量を弱めて時間を延ばすやり方でも構いません。ただし、送風で焦げ臭が強まるなら、電気系の可能性も考え、使用中止へ寄せて判断してください。
手順5:コンセント周りの目視と“触れない確認”(焦げ臭疑いの補強)
焦げ臭が少しでも気になる場合、コンセント周りは重要な観察ポイントです。プラグの変色、壁コンセントの焦げ跡、周辺の変形がないかを目視します。触って熱いかの確認は、無理にやる必要はありません。熱が疑われるなら、ブレーカーを切った状態で、手を近づけて熱気を感じるか程度に留め、安全を優先してください。延長コードやタップを使っている場合は、エアコン用途として不適切なことがあるため、壁コンセント直挿しが原則です。
【レベル2】専用道具を使った本格的な対処法:ニオイの原因に“直接効く”対策
レベル2では、ホームセンターで揃う範囲で、ニオイ対策の確度を上げます。ただし、焦げ臭い疑いがある場合は、この章に入る前に「プロへ相談」へ舵を切るのが安全です。ここは主に、カビ臭・生活臭が中心で、危険サインが見当たらないケース向けです。
対処1:エアコン用スプレーの落とし穴(プロが慎重になる理由)
市販のエアコン洗浄スプレーは手軽ですが、使い方を誤ると逆効果になることがあります。たとえば、熱交換器に噴霧した液が電装部にかかる、汚れがドレンパンに流れ込んで詰まりを起こす、十分に乾かずにカビの餌になる。こうした失敗談は現場で珍しくありません。特に「どこに噴霧して良いか」を誤ると、軽症を重症化させることがあります。
もし使うなら、取扱説明書の許容範囲を確認し、電装部にかからないよう養生し、使用後は送風で十分に乾燥させます。ただし、多くのプロは「臭いが強い場合ほど、分解洗浄を含むプロクリーニングのほうが確実」と考えます。DIYのつもりが結局高くつくのは避けたいところです。
対処2:ドレン(排水)系の簡易点検:臭いが“湿った雑巾”に近いとき
ドレンパンやドレンホースに汚れが溜まると、湿った臭いが強くなることがあります。屋外側のドレンホース先端を確認し、泥や虫で塞がれていないか見ます。先端が塞がれていると排水が滞り、内部が常に湿って臭いが取れにくくなります。ここでできるのは、先端周辺の軽い清掃までです。サクションポンプなどで吸う方法もありますが、慣れないと水を室内側に逆流させるリスクがあるため、不安があればプロに任せるほうが安全です。
対処3:プロがやる“ニオイのリセット”発想:徹底乾燥と運転の組み立て
カビ臭を抑えるうえで、本質的に効くのは「汚れを減らす」と「湿気を残さない」です。そこで、掃除した日は、冷房や除湿を短時間使った後に、送風を60分入れて内部を乾燥させる、という運転の組み合わせが有効な場合があります。最近の機種には内部クリーン(乾燥)機能があることも多いので、設定を確認し、必要なら有効化しましょう。内部クリーンは万能ではありませんが、習慣化すると臭いの再発を減らしやすいです。
対処4:それでも臭いが取れないときの現実:分解洗浄の必要性
フィルター清掃と乾燥で改善しない場合、熱交換器の奥や送風ファンに汚れが蓄積している可能性があります。ここは外からでは届きにくく、表面だけきれいにしても臭いが戻りやすい領域です。この状態で無理にDIYを続けると、汚れを押し込んだり、ドレン詰まりを誘発したりして逆効果になり得ます。多くのプロは、この段階で分解洗浄(プロクリーニング)を検討するのが合理的だと考えます。
【ケーススタディ】住居環境別の注意点:戸建てと賃貸で“正しい動き方”が違う
臭いトラブルは、技術だけでなく住環境や契約条件に左右されます。特に賃貸は、勝手な清掃や分解で責任問題に発展しやすいので、注意が必要です。
戸建ての場合:生活臭の蓄積と換気設計の影響が出やすい
戸建てでは、キッチンの油煙、ペット臭、薪ストーブやたばこなどの生活要因が空気循環に乗り、エアコン内部に蓄積しやすいことがあります。また、高気密住宅では換気の運用が臭いに影響します。換気を弱めた状態で料理をすると、臭い成分が室内に滞留し、エアコンが吸い込んで内部に残りやすくなります。臭い対策はエアコン単体ではなく、換気とセットで考えると改善が早くなることがあります。
マンション・アパート(賃貸)の場合:設備か残置物か、まず確認する
賃貸のエアコンが備え付け(設備)なら、基本的に修理・交換は管理会社側が窓口になることが多いです。ここで自分で分解洗浄を手配したり、強い薬剤を使って内部を傷めたりすると、負担区分で揉める可能性があります。したがって賃貸では、危険サインがある場合は即停止して管理会社へ、危険サインがない臭いの場合も、まずはフィルター清掃と送風乾燥までに留め、改善しなければ相談するのが無難です。
また集合住宅では、ドレン排水がベランダを濡らし、下階に影響するケースがあります。清掃後の排水不良はトラブルの火種になるため、ドレン系に踏み込む作業は慎重に判断してください。
自力 vs プロ依頼の最終判断:境界線を明確にする
臭い問題の難しさは、我慢してしまいがちな点です。しかし、焦げ臭い可能性があるなら我慢はおすすめできません。ここでは「ここまでDIY」「ここからプロ」をはっきり線引きします。
DIYで進めてよい可能性が高い領域
カビ臭・湿った臭い・生活臭が中心で、焦げ臭さがなく、発熱やブレーカー落ちなどの危険サインがない。さらに、フィルターが明らかに汚れている、内部クリーン(乾燥)を使っていない、送風乾燥をしていない。こうした場合は、フィルター清掃と乾燥運転の組み立てだけで改善するケースがあります。
ここからはプロを強く推奨(安全面での境界線)
焦げ臭い、プラスチックが焼ける匂い、目にしみる刺激臭が強い。あるいは、プラグが熱い、ブレーカーが落ちる、異音やランプ点滅を伴う。これらは電気系や重大故障の可能性があり、DIYで触るほど危険を増やす場合があります。ここは「止める」「通電を止める」「相談する」が最短です。
DIYと業者依頼の比較表:費用・時間・リスクを冷静に比較
| 視点 | 自力(DIY) | プロ依頼 |
|---|---|---|
| 費用 | フィルター清掃や送風乾燥はほぼ無料。スプレー等は安いが失敗コストが出ることがある。 | クリーニングや修理費がかかるが、原因に直撃しやすく再発率を下げやすい。 |
| 復旧までの時間 | すぐ試せるが、臭いが戻ると迷走しやすい。原因が深いと長引く。 | 予約待ちはあり得るが、分解洗浄や測定で一気に改善することが多い。 |
| 安全性 | 危険サインがない臭いなら比較的安全。ただし電気・水・薬剤で事故リスクが上がる。 | 電装部・漏電・発熱など危険領域を管理できる。芳香・薬剤も適正に使える。 |
| 原因特定 | 表層原因(フィルター・湿気・生活臭)には強いが、内部奥の汚れや電気異常は限界。 | 臭いの発生源を分解で特定しやすい。必要に応じて部品交換も可能。 |
| 再発防止 | 運転習慣の改善で効果が出る。内部奥に汚れが残ると再発しやすい。 | 内部奥まで洗浄でき、再発要因(詰まり・劣化)も同時に潰しやすい。 |
この表を踏まえると、迷っている人への実務的な助言はこうです。危険サインが少しでもあるなら、DIYを続けるほど不安が増え、リスクも増えます。早めに停止して相談するほうが、結果的に安く早く収まることが多いです。一方で、危険サインがなく、カビ臭・生活臭が中心なら、フィルター清掃と送風乾燥、内部クリーンの設定見直しだけで改善することもあります。ここは「我慢」ではなく、「根拠のある手順」で動くのが正解です。
二度と繰り返さないために:臭いを出さない運用とメンテナンス
臭い対策は、清掃だけでなく“運用”が大きいです。プロは「濡らさない」ではなく、「濡れても乾かす」設計で考えます。つまり、冷房・除湿で濡れるのは避けられないので、湿気を残さない習慣が効きます。
習慣1:冷房・除湿のあとに“送風乾燥”を入れる
毎回でなくても構いません。特に湿度が高い日や、長時間冷房を使った日は、送風を30〜60分入れるだけで内部の水分が残りにくくなり、カビ臭の再発を減らしやすいです。内部クリーン機能があるなら活用し、作動条件を取扱説明書で確認してください。
習慣2:フィルターは「2週間に1回」を基準にする
フィルターが詰まると、湿気と汚れが溜まりやすく、カビ臭が強くなります。2週間に1回、掃除機で吸うだけでも効果があります。ペットがいる家庭や料理が多い家庭は、1週間に1回にすると体感差が出やすいです。
習慣3:換気とセットで臭いを減らす(料理・芳香剤・洗剤に注意)
料理の油煙、香料、洗剤成分はエアコン内部に吸着しやすいことがあります。料理中は換気扇を回し、窓を少し開けるなど、臭い成分を室内に滞留させない工夫が有効です。芳香剤や消臭スプレーをエアコンに向けて噴霧するのは避けてください。成分が内部に溜まり、別の臭いの原因になることがあります。
おすすめ予防グッズ:選び方の考え方
カビ対策としては、内部クリーン機能の活用がまず優先です。グッズで対策するなら、防カビフィルター系は「交換頻度」と「目詰まりリスク」を理解して導入する必要があります。目詰まりは効率低下を招くため、放置するほど逆効果になり得ます。したがって、導入するなら点検習慣とセットで考えるのが失敗しにくいです。
よくある質問とマニアックな疑問:Q&A
Q1. 最初だけ臭うのは正常ですか?
カビ臭や生活臭のケースでは、運転開始時に吹き出しが臭い、数分で収まることがあります。内部に溜まった臭い成分が最初に出るためです。ただし、焦げ臭い、刺激が強い、以前より明らかに悪化している場合は“正常”と決めつけず、危険サインの確認を優先してください。
Q2. 暖房をつけるとホコリが焼けたような臭いがします。危険?
シーズン初回の暖房で、内部の埃が温められて独特の臭いが出ることがあります。短時間で収まり、焦げ臭さや発熱、異音、ブレーカー落ちがなければ、危険ではない可能性もあります。ただし、臭いが強い、長く続く、目にしみる、あるいは焦げ臭く感じるなら、使用中止へ寄せて安全確認するのが無難です。
Q3. 焦げ臭い気がするけど確信がありません。どうすれば?
確信がないときほど、鼻だけで判断しないことが重要です。プラグやコンセントの発熱、ブレーカー挙動、煙、異音、ランプ点滅などの付随情報を見ます。少しでも危険サインがあるなら停止して相談するほうが安全です。確信が持てないのはサインでもあります。
Q4. 送風運転で臭いが薄れます。続ければ治りますか?
湿気が原因のカビ臭であれば、送風乾燥で改善することがあります。ただし根本的に汚れが厚い場合は、乾燥しても臭いが戻ることがあります。送風で改善しても、再発するようなら分解洗浄を検討したほうが確実です。
Q5. 市販スプレーで臭いが悪化しました。なぜ?
汚れが溶けてドレンパンに溜まり、湿った汚れが臭いを強めた、十分に乾燥できていない、あるいは噴霧が電装部近くにかかり異臭が出た、などが考えられます。無理に追加噴霧をせず、換気と乾燥を優先し、状況が改善しないならプロに相談すると安全です。
Q6. エアコンを止めたら暑くて危険です。どう折り合いをつける?
この葛藤は非常につらいです。焦げ臭や発熱など危険サインがあるなら、安全を優先し停止が合理的です。そのうえで、扇風機やサーキュレーター、冷却シート、別室の空調、近所の避難先(公共施設など)などで短期的にしのぐ工夫が必要になります。危険サインがなくカビ臭中心なら、換気をしながら短時間運転し、送風乾燥を挟む運用で負担を減らす方法もあります。
Q7. 子どもが咳をします。臭いと関係ありますか?
カビ臭が強い場合、空気中の微粒子やカビ由来成分で喉や気道が刺激される人がいます。因果関係を断定はできませんが、症状が出ているなら無理に使用せず、換気と清掃、必要ならプロクリーニングを検討するのが安全寄りの判断です。
Q8. 室外機周りの臭いがします。室外機が焦げている?
室外機周りの臭いは、落ち葉やゴミが熱を持って臭う、排気が壁に当たって臭いがこもる、周囲の環境臭が吸い込まれている、などが考えられます。ただし、室外機から焦げ臭が強く、異音や振動、ブレーカー落ちがあるなら危険です。すぐ停止して点検を検討してください。
Q9. 何年に1回、プロのクリーニングが必要?
使用頻度や環境で変わりますが、一般家庭でも1〜2年に1回を目安に検討する人が多いです。ペットがいる、料理が多い、湿度が高い地域、アレルギー体質の家族がいる場合は、もう少し短い周期のほうが快適になることがあります。
Q10. 業者に連絡するとき、何を伝えると早い?
臭いの種類(カビ臭・焦げ臭・刺激臭)、いつ出るか(開始直後・運転中ずっと・特定モードのみ)、発熱の有無、ブレーカー落ちの有無、煙や異音、ランプ点滅の有無、型番と製造年(分かれば)です。可能なら、室内機表示と周辺の動画もあると、話が早く進みやすいです。
まとめ:ニオイは「我慢」より「判断」。焦げ臭いなら安全優先が最短
エアコンのニオイは、カビや生活臭が原因のことも多い一方で、焦げ臭い場合は電気的異常の可能性があり、使用中止の判断が重要になります。焦げ臭さ、発熱、ブレーカー落ち、煙、パチパチ音などがあるなら、運転を止めてブレーカーを切り、専門業者へ相談するのが安全寄りの選択です。
危険サインがなく、カビ臭・湿った臭いが中心なら、フィルター清掃と送風乾燥、内部クリーン機能の活用など、DIYで改善できる余地があります。ただし改善しない、すぐ戻る場合は、内部奥の汚れが原因になっている可能性が高く、分解洗浄を含むプロ対応が現実的です。
Next Step: 読み終わった瞬間にまずやる「最初の1アクション」は、ニオイが出た状態で無理に運転を続けず、まず窓を開けて換気し、焦げ臭・発熱・ブレーカー落ちがないかを30秒で確認することです。危険サインがあれば停止してブレーカーを切り、なければフィルター清掃と送風乾燥から始めましょう。

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