給湯器が動かない/電源が入らないときの切り分け手順(自分で確認)

お湯を出した瞬間に「冷たいまま」「リモコンが真っ暗」「そもそも電源が入らない」。 しかも朝の支度や帰宅後の入浴タイムに限って発生する。 このストレスと焦り……その気持ち、痛いほどわかります。

給湯器は、家電の中でも「水・ガス(または電気)・排気」という複数の危険要素を同時に扱う設備です。 つまり、闇雲に触るほどリスクが上がります。 一方で、ユーザー側で安全に切り分けできるポイントも確かに存在します。

まず最初に結論です。 今すぐ処置(=使用中止+連絡)が必要なケースと、落ち着いて確認できるケースを分けましょう。 ここを間違えると「直るはずのものが悪化」したり、逆に「危険を見逃す」ことがあります。

第一に、家の中や給湯器周りでガス臭い、あるいは焦げ臭い、本体からが出る、配管付近でシューッという音がする、リモコン表示が消えたり点いたりを繰り返す、ブレーカーが何度も落ちる。 この場合は、試行回数を増やすほど危険が高まるため、使用を止めて(可能なら給湯器の電源・ガス栓を止める)、換気し、必要に応じてガス会社・メーカー・管理会社に連絡してください。 気分が悪い、頭痛、吐き気などがある場合は、無理をせず救急要請も選択肢になります。

第二に、ガス臭・煙・異常発熱がない、床が濡れていない、そして「停電・断水の気配がない」場合。 このときは、この記事の手順どおりに進めると、原因の当たりを高い確度で付けられます。 給湯器は「機械が悪い」よりも、案外、電源・水・ガスのどれかが届いていないことが多いからです。

この記事では、給湯器の種類(ガス給湯器、エコジョーズ、石油給湯機、電気温水器、エコキュート)をまたいで使えるように、 症状 → 安全確認 → 切り分け → レベル別対処 → プロ依頼基準まで、教科書レベルで網羅します。 「自分でやっていい範囲」と「ここから先は触らない」を明確に線引きしますので、二度手間や無駄な出張費を減らせます。

※この記事は、住まい・生活トラブル分野の専門的知見を持つライターが、製品仕様や一般的な施工基準に基づき執筆しました。状況により専門業者の判断が必要な場合があります。

目次

トラブルのメカニズム解剖:なぜ「電源が入らない」「動かない」が起きるのか

給湯器が動くには、ざっくり言うと「頭脳(基板)」「点火・加熱(バーナーやヒーター)」「呼吸(給排気)」「感覚(各センサー)」「血管(水の流れ)」が揃う必要があります。 このうちどれか一つでも条件を満たさないと、給湯器は安全装置として止まるように設計されています。 つまり、止まること自体が「賢い挙動」であり、無理に動かそうとするほどリスクが上がります。

「電源が入らない」とひと口に言っても、実は大きく二系統あります。 一つは表示系(リモコン)が点かないタイプ。 もう一つはリモコンは点くが燃焼しない/お湯にならないタイプです。 前者は電源供給や通信、漏電遮断の可能性が高く、後者は水・ガス・排気・センサーの条件不成立が中心になります。

ガス給湯器(一般的な「瞬間式」)の場合、蛇口を開いた瞬間に水が流れ、流量センサーが「今、湯を作れ」という信号を出します。 するとファンが回り、排気経路が確保され、次に点火装置が火花を飛ばし、ガスを燃やして熱交換器で水を温めます。 この一連の流れのどこかで「おかしい」と判断すると、給湯器は燃焼を止め、エラー表示(または無表示停止)に移行します。

一方、エコキュートや電気温水器は、直接燃焼の代わりにヒーターやヒートポンプで湯を沸かし、タンクに貯めて供給します。 このタイプは「今すぐ燃やす」よりも「湯切れ」「ブレーカー」「凍結」「循環ポンプ」「混合弁」などが効いてきます。 したがって、同じ“お湯が出ない”でも原因筋が違うため、切り分け順序が重要です。

放置のリスク:1週間後・1ヶ月後に何が起こり得るか

給湯器が止まったまま放置すると、短期と中期で困り方が変わります。 まず1週間以内は、生活への直撃が最大です。 シャワー・洗い物・洗面が冷水となり、冬場は体調を崩しやすく、特に小さなお子さんや高齢者がいる家庭では影響が大きくなります。

しかし本当に怖いのは1ヶ月単位です。 原因が「凍結」「排水詰まり」「微小な水漏れ」「漏電気味」などの場合、止まっている間もじわじわ進行します。 たとえば凍結は配管のクラック(ひび)を悪化させ、気温が上がって解けたタイミングでじわ漏れ→床下浸水に転じることがあります。 また、エコジョーズのドレンが詰まった状態で稼働を繰り返すと、内部に水が回り込み、基板やセンサーに影響する可能性があります。

そして「たまに動く」を放置するのも危険です。 たまに動く機器は、接触不良や過熱保護の入り際など、悪化の入口であることが少なくありません。 何度もリセットや再起動で凌ぐほど、部品にストレスがかかり、修理費が上がったり、交換になりやすくなります。

プロが選ぶ道具と環境づくり:安全に切り分けするための準備

給湯器トラブルの切り分けは、実は工具よりも「記録」と「安全確保」が勝負です。 プロが現場で最初にやるのは、いきなり分解ではなく、状況情報(いつ・何が・どの表示で)を整理すること。 ここを丁寧にやるほど、原因到達が早くなり、出張1回で解決しやすくなります。

必須道具:あると早い、ないなら代用はどこまで可能か

第一に、スマホ(写真・動画・メモ)。 リモコン表示、エラーコード、給湯器本体の型式ラベル、設置状況(排気口・配管)は、プロの診断に直結します。 写真があるだけで「電話口での誤解」が減り、無駄な部品手配を避けられます。

第二に、懐中電灯またはヘッドライト。 給湯器周りは屋外・暗所が多く、スマホライトだけだと手元が塞がります。 100均のライトでも代用できますが、バッテリー残量だけは要注意です。 途中で暗くなると、確認が雑になりがちです。

第三に、タオル複数枚と、バケツ(または洗面器)。 ストレーナー(網フィルター)掃除をする場合、ほんの少しでも水が出ます。 床や壁を濡らすと、賃貸では特にトラブルが二重化します。 この二つは100均で十分ですが、タオルは吸水力のある古布が一番使いやすいです。

第四に、 군手ではなく薄手の作業用手袋(ゴム手袋でも可)。 給湯器周りは金属の角が多く、冬は冷えて指先が切れやすい。 細かい作業ほど素手でやりがちですが、怪我をすると作業が中断します。

補助的に、温度計(料理用のデジタルでOK)があると「湯温が上がらない」の切り分けがかなり正確になります。 一方で、通電確認のためのテスター等は、慣れていない方にはおすすめしません。 電気は“見えない危険”なので、ここはプロの領域に残す判断が賢明です。

安全確保:作業前に必ずやる「プロの下準備」

作業前に、まず換気です。 屋内設置給湯器や屋内の排気ダクトが絡む場合は特に、窓を開け、換気扇を回し、空気の流れを作ってください。 ガス臭が少しでもあるなら、点火源(タバコ・ライター・スイッチのオンオフ)を避ける意識が必要です。

次に、足元と周囲の養生です。 濡れる可能性がある場所にはタオルを敷き、コンセントや延長コードが床に転がっているなら水から遠ざけます。 水と電気が近い状態は、作業者にとって最悪の組み合わせです。

最後に、作業の“止めどき”を決めます。 この記事の手順は「ユーザーが安全にできる範囲」を前提にしています。 カバーを外す、ガス配管に触る、燃焼部へ手を入れるといった領域に入った瞬間、リスクが跳ね上がります。 その境界を越えないことが、最短で安全な解決に繋がります。

【レベル1】初心者でも可能な初期対応(DIY):まずはここから切り分ける

ここからは実況中継のように進めます。 順番には意味があります。 たとえば“凍結”の可能性が高い日に、何度もリセットを繰り返すと、機器に負担をかけるだけで、結局解決しないことが多いからです。

ステップ0:いま直面している「症状の型」を決める

第一に、リモコンに何か表示があるか。 リモコンが真っ暗で、ボタンを押しても一切反応しないなら、電源系(コンセント・ブレーカー・漏電遮断)か、リモコン配線・基板停止が主戦場です。 一方で、リモコンは点くのにお湯が出ないなら、水・ガス・排気・センサー条件の可能性が上がります。

第二に、家の中の他の家電は動くか。 照明が点いていても、給湯器だけが落ちているケースは珍しくありません。 給湯器は専用回路や屋外コンセントで、別系統のブレーカーになっていることがあるからです。

第三に、蛇口を開けたときの“手応え”です。 水の勢いが弱い、途中で止まる、空気を噛んだようにゴボゴボする。 こういうときは、給湯器以前に「水が安定していない」可能性が出ます。 給湯器は水の流れが条件なので、ここを無視すると遠回りになります。

ステップ1:停電・断水・全体異常を最初に潰す

まず、家全体の停電・瞬停がなかったかを思い出してください。 夜間の瞬間停電は気づきにくく、給湯器だけが起動失敗して止まることがあります。 ブレーカーが落ちていないのに動かないとき、実は瞬停後に基板が“中途半端な状態”で止まっているケースがあるのです。

次に断水です。 水道工事やマンションの受水槽点検で、一時的に水圧が落ちると、給湯器は燃焼条件を満たせず停止します。 蛇口から冷水が勢いよく出るか、トイレのタンクが正常に溜まるか。 この2点を確認できると、切り分けが一段進みます。

ステップ2:ブレーカーとコンセントを「給湯器だけ」見にいく

給湯器が外壁側にある家では、屋外コンセントを使っていることが多いです。 屋外コンセントは雨風で不調が起きやすく、また漏電遮断器(ブレーカー)が働いて落ちることがあります。 分電盤を開け、給湯器と思われる回路のブレーカーが“中間位置”になっていないか、ゆっくり確認してください。

ここでのコツは、「落ちていそうだから上げる」ではありません。 一度完全にOFFにしてから、カチッとONへ戻します。 中途半端だと復帰しない機種があるためです。 そして、復帰直後にまた落ちるなら、そこで粘らずプロ領域の合図と考えてください。

次に、給湯器のコンセントを確認します。 抜けかけている、差し込みが浅い、屋外用カバーの中で半抜けになっている。 この“単純すぎる原因”は、実は現場でかなり多いです。 ただし、周囲が濡れていたり、コンセントが焦げて見える場合は触らず連絡を優先してください。

ステップ3:リモコンの状態で「電源系か、燃焼系か」を決める

リモコンが点かない場合、まず「別の場所のリモコン」も見てください。 台所と浴室の2箇所がある家庭なら、片方だけ点かないのか、両方点かないのか。 片方だけならリモコン側の不具合(表示部、結露、配線)寄り。 両方真っ暗なら給湯器本体の電源供給・基板停止寄りです。

リモコンが点く場合は、表示の変化を観察します。 蛇口を開けた瞬間に「燃焼」ランプが点くか、給湯マークが出るか。 点かないなら、給湯器が“水が流れていない”と判断している可能性があります。 点くのにすぐ消えるなら、点火失敗や安全停止の可能性が上がります。

ステップ4:ガスの供給(ガス給湯器の場合)を“安全に”確認する

ガス給湯器で見落としがちなのが、ガスの供給停止です。 ただし、ガスは扱い方を間違えると危険です。 ここでは安全な確認だけに限定します。

まず、コンロがあるなら点火を試せるかを見ます。 もしコンロも点かないなら、給湯器以前にガス供給が止まっている可能性が高いです。 都市ガス・LPガスともに、地震や大きな揺れでメーターが遮断することがあります。 このとき、家の中でガス臭がするなら絶対に復帰操作をせず、換気してガス会社へ連絡してください。

ガス臭がなく、メーター遮断の可能性が高い場合は、メーターの表示やランプが“遮断状態”を示していることがあります。 復帰操作はガス会社の手順が最優先です。 一般論としては「すべてのガス機器を止めた状態で復帰→数分待つ→使用再開」という流れですが、機種や地域で異なります。 不安があるなら、ここは電話一本のほうが安全で確実です。

ステップ5:水の供給(止水栓・元栓・フィルター)を確認する

「水は出るのにお湯にならない」場合でも、給湯器が必要とする水量に達していないことがあります。 特に、節水シャワーヘッドやストップボタン付きシャワー、蛇口先端の泡沫器が詰まっていると、流量が不足しやすい。 この場合、給湯器は「火をつけるほどの水が流れていない」と判断し、燃焼しないことがあります。

確認方法は簡単です。 一度、普段より少し大きめにお湯側を開き、10秒間だけ水の勢いを見ます。 勢いが弱い、周期的に波打つなら、止水栓が半開き、ストレーナー詰まり、または水圧の問題が疑われます。 マンションの場合、他の部屋でも水圧が落ちている時間帯があり、給湯器が不安定になることがあります。

ステップ6:凍結を疑う日の確認(冬の朝に多い)

外気温が氷点下近い朝に「急に出ない」なら、凍結が候補に上がります。 凍結は、配管内の水が氷になって流れを止める現象です。 給湯器は水が流れない限り燃焼しないため、結果として「動かない」に見えます。

ここで重要なのは、熱で急激に温めないことです。 配管に熱湯をかける、火で炙る、ヒーターを密着させる。 この手の“急激な解凍”は、配管を傷めたり、事故に繋がる可能性があります。 現実的には、屋外配管付近を風から守り、室内側は暖房を入れ、自然に近い形で温度を上げるほうが安全です。

そして、凍結が解けたあとに水漏れが始まることがある点も覚えておいてください。 「直った!」で終わらせず、解凍後は配管の継手や床下点検口付近を、タオルで拭って湿りが出ないか確認すると安心です。

ステップ7:給湯器の「安全なリセット」を一度だけ行う

瞬停や軽微な誤検知が原因なら、リセットで復帰することがあります。 ただし、何度も繰り返すのはおすすめしません。 一度だけ、手順を丁寧に行うのがポイントです。

一般的には、給湯器の電源(コンセント)を抜く、またはリモコンの運転スイッチを切り、 30秒〜1分待ってから戻します。 この“待つ”工程が重要で、基板の電荷が抜けて再起動が正常化します。 すぐ差し直すと、状態が残って復帰しないケースがあります。

リセット後、蛇口を開けたときに「いつもとは違う音」がしたら、注意深く観察してください。 ファンの回転音が一瞬して止まる、カチカチと点火音だけして燃焼しない。 この場合は、点火不良や排気条件の不成立など、プロの診断が必要な領域に近づいています。

【レベル2】専用道具を使った本格的な対処法:詰まり・汚れ・排水が原因の“止まり”を潰す

レベル2は「分解」ではなく「ユーザーが触れて良い範囲の清掃・復旧」を丁寧に行う段階です。 ホームセンターや身近な道具でできる一方、雑にやると水漏れを招きます。 したがって、時間を確保し、落ち着いて行うのが正攻法です。

給水ストレーナー(フィルター)の清掃:流量不足で燃焼しないケース

給湯器の入口側には、砂やサビが入らないようにストレーナー(網フィルター)が付いている機種が多いです。 ここが詰まると、水は出ているように見えても給湯器内部の必要流量に達せず、燃焼が安定しません。 「お湯側を大きく開くと少しだけ温かいが、すぐぬるい」などの症状で疑います。

作業前に、まず止水栓(または元栓)を閉めます。 次に、屋内の蛇口をお湯側に開け、10秒ほどで閉めます。 これは配管内の圧を落とすためで、いきなり外すと水が飛びやすいからです。

ストレーナーは、給湯器下の配管接続部に「コインで回せるキャップ」や「小さなフィルター栓」として付いていることが多いです。 タオルとバケツを用意し、ゆっくり緩めます。 外れたら、網に付着した砂・サビを歯ブラシで落とし、流水で流します。 ここで針金で突くのはおすすめしません。 網が破れると、以後のトラブルが増えます。

戻すときは、ねじ山を斜めに噛ませないように手で回し、最後だけ軽く締めます。 強く締めすぎるとパッキンが潰れ、逆に水漏れしやすくなります。 止水栓を開けたら、接続部を乾いたタオルで拭き、 3分間そのタオルに湿りが出ないか観察してください。 “じわ漏れ”はすぐには分からないため、この観察が品質の差になります。

エコジョーズのドレン(排水)確認:止まる・エラーが出る・周りが濡れる

エコジョーズ(潜熱回収型)は、燃焼で発生する水蒸気から熱を回収する過程でドレン水(弱酸性の排水)が出ます。 この排水が通るホースや排水経路が詰まると、内部に水が滞留し、エラー停止につながることがあります。 また冬場は、ドレンが凍って排水できずに止まるケースもあります。

ここでの注意点は、ドレン水が弱酸性であること、そして機種ごとに排水経路が違うことです。 ユーザーができる範囲は「ホースが折れていないか」「先端が塞がれていないか」「排水先が凍っていないか」を目視で確認すること。 ホースを無理に引っ張ったり、内部を突いたりすると外れやすくなり、結果として水漏れを招きます。

もしホース周りが泥や落ち葉で詰まっているなら、手袋をして周辺だけ片付けます。 そして排水先が屋外の側溝などの場合は、落ち葉で塞がれていないかを確認してください。 “排水が外に出ない”というだけで、給湯器は安全停止する可能性があります。

屋外コンセント・防水カバー周りのチェック:雨の日に増える落とし穴

ここはプロの“失敗談”から学べるポイントです。 実際に出張現場で、基板不良と疑われたケースがありました。 しかし原因は、屋外コンセントの防水カバー内に溜まった湿気で、プラグが微妙に浮き、瞬断を繰り返していたのです。 リセットで一時的に直るため、厄介でした。

ユーザーができる範囲は、コンセントが濡れていないか、カバーがきちんと閉まっているか、プラグがしっかり刺さっているかの確認です。 乾燥させようとしてドライヤーを当てたり、濡れた手で触ったりするのは避けてください。 濡れが疑われるなら、まず雨が止むのを待ち、必要なら専門の電気工事も含めて相談するのが安全です。

【ケーススタディ】住居環境別の注意点:戸建てとマンション・賃貸で何が違う?

同じ「給湯器が動かない」でも、住まいの条件が違うと最適解が変わります。 ここを理解しておくと、無駄な自己対応で時間を溶かさずに済みます。

戸建ての場合:メーター遮断・屋外配管・凍結・電源経路が鍵

戸建ては、屋外配管が長くなりやすく、凍結の影響を受けやすい傾向があります。 また、ガスメーターが敷地内にあり、地震遮断後の復帰が必要になることもあります。 ただし、復帰操作は「ガス臭がしない」「器具がすべて消えている」などの条件が揃ってはじめて安全に行えます。 不安なら迷わずガス会社に問い合わせたほうが、結果として早いです。

さらに戸建ては、屋外コンセントや配線が露出していることが多く、雨・湿気・虫の侵入などで電源周りが不安定になりがちです。 ブレーカーが落ちる、復帰してもすぐ落ちるという挙動は、漏電やショートのサインになり得ます。 この場合は「自分で復帰を繰り返さない」が安全の鉄則です。

マンション・アパート(賃貸)の場合:管理規約と二次被害(漏水リスク)が最優先

賃貸住宅で最も避けたいのは、自己作業が原因での漏水事故です。 床を濡らすと階下へ影響し、結果として給湯器トラブルより大きな損害になります。 したがって、レベル2のストレーナー清掃なども、 「作業スペースが狭い」「工具が必要になりそう」「少しでも不安がある」なら、管理会社へ相談する判断が堅実です。

また、マンションでは給湯器がベランダやPS(パイプスペース)内にあるケースが多いです。 PS内は換気条件が絡み、排気口周りに物を置いてしまうと安全装置が働くことがあります。 収納のつもりで段ボールや洗剤を置いてしまい、排気を妨げて停止する。 これは現場で非常に多い“あるある”です。

さらに、ガス契約やメーターが共用位置にある物件もあります。 メーター遮断の確認や復帰に制約があるため、住人が単独で解決しにくい。 この場合も「まず管理会社・オーナー側へ連絡」が結果的に早く、安全です。

自力 vs プロ依頼の最終判断:ここが境界線

ここまでのチェックで、かなりの確率で「原因の方向性」は見えたはずです。 次は、あなたの時間と安全を守るための判断です。 ここまでは自分でOKと、ここからはプロを線引きします。

第一に、自分でOKの範囲は「電源・水・ガスの供給確認」「安全なリセット」「目視できる詰まり・折れ・遮蔽物の除去」「ストレーナー清掃(不安がない場合)」までです。 ここは機器の内部に踏み込まず、事故リスクを上げにくい領域です。

第二に、プロの領域は「ブレーカーが繰り返し落ちる」「焦げ臭・煙・異常発熱」「ガス臭」「水漏れが確認できる」「エラーが繰り返す」「排気不良が疑われる」「凍結後に漏水の可能性がある」「10年以上経過している」などです。 ここは自力で粘るほど、部品損傷や二次被害の可能性が上がります。

比較軸DIY(自分で確認・対処)プロ依頼(メーカー・給湯器業者・管理会社)
費用感基本0円〜数百円(清掃用品)。ただし失敗すると漏水などで損害が大きくなり得ます。出張点検が数千円〜1.5万円前後のことが多く、修理は部品代込みで1万〜数万円、交換は機種・工事で十数万〜数十万円の幅があります。
時間切り分けに30〜90分。原因が複雑だと延々と沼に入ります。予約・訪問待ちは発生。ただし診断が速く、部品手配まで一気通貫しやすいです。
リスク水漏れ・感電・安全装置の無視など。特にガス臭やブレーカー落ちを軽視すると危険が増します。費用はかかる一方、安全確認と原因特定、保証・補償の面で安心が大きいです。
メリットその場で復帰できれば最速。原因の方向性を掴めると、依頼時の説明も明確になります。再発防止まで含めた対処が期待でき、危険領域に踏み込まずに済みます。

この表の読み方はシンプルです。 “安さ”でDIYを選ぶのではなく、危険サインの有無と、二次被害の可能性で判断することが大切です。 特に賃貸では、漏水の二次被害だけで数十万円単位になり得ます。 迷ったら、まずは「写真と状況メモ」を揃えて電話相談するだけでも、無駄はかなり減ります。

そして、プロに依頼するときの“伝え方”が、結果を左右します。 型式、設置年(だいたいでOK)、症状(リモコンが点かない/点くが燃えない等)、エラーコード、いつから、天候(凍結しそうだったか)、 この6点をセットで伝えるだけで、対応の精度が上がります。

予防とメンテナンス:二度と繰り返さないために

給湯器のトラブルは、完全に運任せに見えて、実は“兆候”が出ていることが多いです。 予防は「大掃除」より「小さな習慣」のほうが効きます。 ここでは現実的に続くメンテナンスを提案します。

月1回の「目視点検」:3分でできて効果が大きい

月に一度、給湯器の周りを見てください。 排気口付近に物が置かれていないか、落ち葉が詰まっていないか、 配管の接続部に白い粉(乾いた水跡)が出ていないか。 この“白い跡”は微小漏れのサインになることがあります。

また、屋外コンセントのカバーがしっかり閉まっているかも見てください。 風で少し開いているだけで、湿気が溜まりやすくなります。 このチェックは本当に地味ですが、出張現場の“原因ランキング上位”を潰せます。

冬の凍結対策:電源を切らないことが最重要な日がある

凍結対策でよくある失敗は、「節電のために給湯器のコンセントを抜く」ことです。 多くの機種には凍結防止ヒーターや循環運転が備わっていますが、 それは電源があってこそ働きます。 氷点下が見込まれる夜は、メーカー推奨の凍結防止運転を優先したほうが安全です。

もし長期不在で電源を落とす必要があるなら、メーカー取扱説明書の“水抜き”手順が前提になります。 ここは機種差が大きく、誤ると逆に凍結破損を招くため、 自信がない場合はプロに相談するか、少なくとも説明書の該当ページを確認してから行ってください。

ニオイ・音・湯温の揺れは「劣化のサイン」

お湯の温度が急にぬるくなる、熱くなる、シャワーが途中で冷たくなる。 この揺れは水圧や混合栓の問題もありますが、給湯器側のセンサー劣化でも起こり得ます。 また、以前より作動音が大きい、点火時にバンと鳴る。 この辺りは、早めに点検すれば修理範囲で収まることが多いです。

Q&A:よくある質問とマニアックな疑問

Q1. リモコンが真っ暗です。まず何から見るべき?

まずは分電盤のブレーカー、次に給湯器のコンセントです。 家電が動いていても給湯器回路だけ落ちていることがあるため、専用回路の可能性を意識してください。 それでも復帰しない、復帰してもすぐ落ちる場合は、漏電等の可能性があるので無理せず相談が安全です。

Q2. リセットすると一時的に直るのに、また止まります。これって何?

一時復帰は「瞬停後の起動失敗」「軽い接触不良」「過熱保護の入り際」などで起こり得ます。 ただし、繰り返すなら悪化傾向の可能性が高いです。 特にブレーカーが絡む、焦げ臭があるなら危険度が上がるため、 “リセットで凌ぐ”を続けず点検をおすすめします。

Q3. コンロは点くのに給湯器だけ点かない。ガスは来てるのに何で?

ガスが来ていても、給湯器は「水が流れているか」「排気条件が整っているか」「点火が成立したか」を順に確認します。 ストレーナー詰まりによる流量不足、排気口周辺の障害物、点火不良(経年)などが候補です。 ユーザー側でできるのは排気口周りの障害物除去と、水量の確認まで。 それ以上はプロ診断が早いことが多いです。

Q4. 追いだきだけ動かない/給湯は出る。何が違うの?

追いだきは浴槽循環配管を使い、循環ポンプや循環フィルターが関与します。 浴槽の循環口フィルターが汚れていると流れが悪くなり、追いだきが止まることがあります。 ただし、機種や配管方式で手順が変わるため、無理に分解せず、フィルターの清掃とリセットまでに留めると安全です。

Q5. 冬の朝だけ出ない。昼には直る。凍結?

可能性は十分あります。 朝の冷え込みで配管が凍り、昼の気温上昇で自然に解けて復帰する典型パターンです。 ただし、解けた後に漏水が始まることがあるので、直った後こそ配管の湿りを確認してください。 再発するなら、保温材の補強や凍結対策の見直しが効果的です。

Q6. 給湯器の周りが濡れているけど、どこからか分かりません。

濡れの原因は、雨の吹き込み、ドレン排水、配管の微小漏れなど多岐にわたります。 まずは乾いたタオルで接続部を拭き、 数分後に同じ場所が湿るかを見ます。 湿りが再現するなら、漏水の可能性が上がるため、賃貸では特に早めの連絡が安全です。

Q7. エラーコードが出ているけど、一覧が手元にありません。

エラーコードはメーカー・機種で意味が違います。 ここで無理に推測すると遠回りになるため、 型式ラベルの写真とエラー表示の写真を撮って、メーカーサイトやサポートへ照会するのが確実です。 “コードの数字”だけで判断せず、「いつ出るか(蛇口を開けた瞬間/運転中/停止後)」も合わせて伝えると精度が上がります。

Q8. 給湯器の寿命が近いと「電源が入らない」ことはありますか?

あります。 基板、電源ユニット、センサー類の劣化で起動しなくなることがあります。 ただし、寿命断定は危険で、実際には屋外コンセントの不調など“周辺要因”が原因のことも多いです。 設置から10年以上経っていて、症状が繰り返すなら、修理と交換の両方で見積もる判断が現実的です。

Q9. 自分でカバーを外して中を見てもいい?

おすすめしません。 給湯器内部は電気部品と燃焼・排気系が密集しており、感電・火傷・排気不良のリスクが上がります。 また、メーカー保証や賃貸の契約上の問題が絡むこともあります。 ユーザーができるのは外観・配管周り・電源の確認まで、と線を引くほうが安全です。

まとめ:今日いちばん大事なのは「安全に、最短で」原因を切ること

給湯器が動かない・電源が入らないとき、焦るほど手当たり次第に触りたくなります。 しかし、給湯器は安全装置が働いて止まる設備です。 まずは危険サイン(ガス臭・煙・焦げ臭・ブレーカー反復)を除外し、 次に電源→水→ガス→凍結→リセット→詰まりの順で丁寧に切り分ける。 これが二度手間を避ける最短ルートです。

そして、迷ったときの境界線は明確です。 「一度のリセットで復帰しない」「繰り返し止まる」「濡れや臭い、ブレーカーが絡む」なら、プロの領域に入っています。 ここで粘るほど危険と損失が増えやすい。 早めの連絡は“負け”ではなく、合理的な判断です。

Next Step:このページを閉じる前に、まずやるべき最初の1アクションは、 給湯器の型式ラベルとリモコン表示(エラーコード)の写真を撮ることです。 その2枚があれば、あなたの切り分けが一気に現実的になり、相談もスムーズに進みます。

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