「トイレの水が止まらない」…その焦り、痛いほどわかります
トイレから「チョロチョロ…」という音がずっと続く。便器の中で水が流れっぱなしに見える。あるいはタンク内でシューッと給水している気配が止まらない。そんな状況に気づいた瞬間、胸がザワつきますよね。
水道代が跳ね上がるかもしれない不安。床に水が広がっていないかの恐怖。集合住宅なら下の階への影響も頭をよぎります。「今すぐ業者?」それとも「自分で直せる?」判断がつかないまま、時間だけが過ぎるのが一番つらいところです。
結論から言うと、トイレの「水が止まらない」はまず“被害を広げない一次処置”をしてから、原因を絞り込むのが最短ルートです。タンク式とタンクレスで原因がかなり違うため、構造に合わせて確認ポイントを切り替えると、ムダな分解や二度手間を避けられます。
すぐに処置が必要なケース(今この瞬間に止めたい)
第一に、床や便器の外側に水が伝っている、あるいはタンクの下や便器の根元が濡れている場合は、内部不良の前に漏水が進行している可能性があります。給水を止める一次処置を優先し、拭き取りと観察に切り替えてください。
第二に、タンクレスで本体が熱を持つ、焦げたようなニオイがする、電源周りが濡れている場合は、電気系統を巻き込むリスクがあります。無理な操作を避け、電源プラグを抜ける状態なら抜き、止水栓を閉める判断が安全側です。
落ち着いて対処できるケース(ただし放置はNG)
便器内でごく細い水の筋が流れているだけで、床は乾いている。タンク周りも濡れていない。こうしたケースは多くがタンク内の部品ズレ・劣化やフラッパー(ゴム弁)周りの密閉不良で、手順さえ守ればご家庭で改善できる可能性があります。
ただし「いつか止まるだろう」は危険です。水が止まらない状態は、いわばトイレが“永遠に小さく流し続けている”のと同じで、時間とともに損失が積み上がります。この記事は、その焦りを手順に変えていくための教科書として書きました。
この記事では、タンク式・タンクレス別に「まず何を止めるか」「どこを見れば原因を当てられるか」「DIYでどこまで行けるか」「プロに切り替える境界線」を、状況別に徹底的に解説します。
※この記事は、住まい・生活トラブル分野の専門的知見を持つライターが、製品仕様や一般的な施工基準に基づき執筆しました。状況により専門業者の判断が必要な場合があります。
基礎知識(トラブルのメカニズム解剖):なぜ「水が止まらない」が起きるのか
トイレの給水は、シンプルに言えば「必要な分だけ溜めて、必要な時だけ流し、決まった水位で止める」という仕組みです。水が止まらないのは、この“止める”工程がどこかで破綻している状態です。
タンク式は「止水の司令塔=浮き球(浮き)とボールタップ」
タンク式には、タンクに水を溜める給水装置(ボールタップなど)と、タンクの水を便器へ落とす排水装置(フラッパー=ゴム弁や排水弁)が共存しています。水位が上がると浮きが持ち上がり、連動して給水を止める。これが基本のメカニズムです。
ところが浮きが引っかかったり、浮きの調整がズレたり、ボールタップ内部が摩耗して「閉じきらない」状態になると、タンクは常に給水します。さらに本来なら「溜まったら止まる」はずの水が、排水側(ゴム弁)から便器へ漏れ続けていると、タンクは水位を維持しようとして給水をやめません。つまり、タンク式の“止まらない”は給水側が止まらないか、排水側が漏れているかの二択に近いのです。
タンクレスは「機械弁・電磁弁・センサー」が止水を担う
タンクレス(タンクが見えない・ないタイプ)は、内部のバルブ(電磁弁や機械弁)で給水を制御し、センサーや基板が動作を判断する構造が一般的です。洗浄弁式の思想に近く、流す操作や自動洗浄が電気信号で動くため、止水トラブルは弁の固着、異物噛み、フィルター目詰まり、センサー誤検知、基板エラーなど原因が広がります。
またタンクレスは「便器内の水位調整」と「洗浄水の供給」がタンク式よりも繊細で、給水圧が不安定だったり、止水栓が半開きだったり、配管内の砂やスケール(白い固まり)が流れ込むだけでも挙動が乱れることがあります。
放置のリスク:1週間後、1か月後に起きること
水が止まらない状態を放置すると、まず水道代が静かに増えます。トイレのチョロチョロ漏れは少量に見えても、24時間×数日で大きな量になります。さらにタンク式では、常に給水と排水が繰り返されることで部品が擦れ、ゴム弁の変形やボールタップの摩耗が進み、軽症から中症へ移行しやすくなります。
1週間ほどで顕在化しやすいのは、タンク内のカビ・ヌメリの増加、便器内の水垢の筋、そして止水栓まわりの結露や微細な漏れです。1か月単位では、床材や巾木の吸水、タンク下の腐食、タンクレスなら電装部品の劣化につながることがあります。特に集合住宅で床下に水が回ると、修繕範囲が自室だけにとどまらないケースもあります。
準備編(プロが選ぶ道具と環境づくり):止水と観察が「安全」と「正確さ」を作る
トイレのトラブルで最初に整えるべきは、工具ではなく止水と作業環境です。水が止まらない状態のまま作業すると、タオルが追いつかず、焦りが増し、部品を落として二次被害になりがちです。
まず止水栓を探す:どこにあって、どう回るのか
トイレの止水栓は、便器の横や後ろ、床や壁から出た給水管の途中にあります。マイナスドライバーで回すタイプと、手で回せるハンドルタイプがあります。回し方は一般的に時計回りで閉ですが、固いときに無理に力をかけると、栓や配管に負担をかけます。
プロがよくやるコツは、まず止水栓の周辺をタオルで拭いて乾かし、どこが濡れているかを“見える化”してから回すことです。固着が疑われるときは、ドライバーの柄をタオルで包んで手の痛みを減らし、ゆっくり一定トルクで回します。いきなり全閉にせず、まずは半回転〜1回転で変化を見ると、暴れにくいです。
必須道具:なぜ必要で、代用できるか
第一に、マイナスドライバーは止水栓操作やタンクフタのネジ確認に使います。100均品でも回せますが、先端が柔らかいと止水栓の溝を潰しやすいので、できればホームセンターの硬めのものが安心です。
第二に、雑巾・古タオル・ペーパー類は“工具”と同じくらい重要です。水を拭くだけでなく、機器に触る前に乾燥状態を作ることで、異常箇所の特定が一気にラクになります。代用品はキッチンペーパーでも構いませんが、量が必要なのでタオルの方が現実的です。
第三に、懐中電灯(スマホライトでも可)はタンク内の影や止水栓周りの水滴の筋を見るために欠かせません。スマホのライトは便利ですが、落下させると割れるので、タンク上に置きっぱなしにしないのが安全です。
第四に、手袋は「衛生」だけでなく、固い部品を回すときのグリップになります。薄手のビニール手袋でも良いですが、濡れると滑るため、できればゴム系の滑り止めがあるタイプが作業向きです。
安全確保:床・電源・換気を先に整える
作業前に床へ新聞紙やビニールシートを敷くと、漏れた水が床材へ染みこむのを防げます。特にフローリングは端部から水を吸うと膨れやすいので、止水と同時に養生する発想が大切です。
タンクレスや温水洗浄便座がある場合は、電源プラグ周辺が濡れていないか確認します。濡れているなら、乾いたタオルで周囲だけを拭き、無理にプラグを触らない方が安全なケースがあります。換気はニオイ対策だけでなく、床や部品を乾かす意味でも有効です。
実践編・レベル別解決策:タンク式・タンクレス別に「止まらない」を切り分ける
【最優先】今すぐ被害を止める一次対応:タンク式もタンクレスも共通
最初の一手はシンプルで、しかし効果が絶大です。止水栓を閉める。これで「止まらない水」が新たに供給されなくなり、作業を落ち着いて進められます。
止水栓を閉めたら、タンク式は一度レバーを回してタンク内の水を流しきり、トラブル状況をリセットします。タンクレスは、機種によっては流しきりができない場合もありますが、便器内の水の動きが止まるか、変化するかを観察します。ここで、止水しても便器内が逆流する、あるいは床に水が湧くように出る場合は、排水管側の問題も疑う必要があり、無理に触らず専門業者への切り替えが安全です。
【レベル1】初心者でも可能な初期対応(DIY):タンク式の「止まらない」を最短で見抜く
まず音と水の動きを「場所」で分ける:タンク内か、便器内か
タンク式で水が止まらないとき、確認の起点は「どこで水が動いているか」です。タンクの上に耳を近づけると、シューッと給水音が聞こえることがあります。一方で便器の水面を見ると、表面が常に揺れていたり、便器奥(排水口側)から透明な水が筋状に流れている場合があります。
給水音が止まらないのに便器側の水が静かなケースは、タンク内で水位が上がらず、どこかから逃げている可能性が高いです。逆に給水音は少ないのに便器奥へチョロチョロ流れているなら、タンク内の排水弁(ゴムフロート)が密閉できていない可能性が高いです。
タンクのフタを開ける:実況中継のように確認する
タンクのフタは陶器製で意外に重く、ぶつけると欠けます。両手で持ち、平らな場所に置きます。フタを開けたら、まずタンク内の水位を見ます。水位が高いのに便器へ流れているなら排水側の不良、そもそも水位が上がらないなら給水側の不良が疑われます。
次に、浮き(浮き球やフロート)がスムーズに上下しているか見ます。浮きがタンク壁に触れて引っかかっていると、適正水位に達しても給水が止まりません。ここは初心者でも直しやすいポイントで、浮きが壁や部品に当たっていれば、当たらない位置に軽くずらします。
さらに、給水弁(ボールタップ)から水が出ている位置を見ます。水が勢いよく常に出ているなら、給水弁内部が閉じきっていない可能性があります。ここで止水栓を閉めていれば水は止まるはずなので、止水栓を少し開けて挙動を確認するのも有効です。ただし、開けるのはほんの少しで、タンクの様子が分かる範囲にとどめます。
よくある原因1:フロート(ゴム弁)がズレて「密閉できない」
タンクから便器へ流れる水の通り道は、フロート弁が栓をすることで塞がれます。しかしゴム弁の縁に水垢やヌメリがついたり、鎖が絡んで弁が少し浮いたりすると、ほんのわずかな隙間から水が漏れ続けます。
ここでの手順は、まず鎖が引っ張られていないかを確認し、引っ掛かりがあれば解きます。次にゴム弁の座面(接地面)を触ってヌメリや固い付着物がないか確かめ、あれば濡れタオルで拭きます。プロがよく見落とさないのは、座面に「砂粒のような異物」が噛むことです。配管工事後や断水復旧後などに起きやすく、米粒ほどの異物でも密閉不良になります。
独自の失敗談としてよくあるのが、「少しでも早く直したくて、ゴム弁を強くこすりすぎる」ことです。ゴムは摩耗すると密閉性が落ち、かえって悪化します。拭き取りは“こする”より“押さえて剥がす”感覚が安全です。
よくある原因2:オーバーフロー管に水が入っている(給水が止まっていない)
タンク内にはオーバーフロー管(立った筒)があり、水位が上がりすぎたとき、便器へ逃がす安全装置です。正常なら、適正水位はこの管の上端より少し下です。もし水面が高く、オーバーフロー管へ水が流れ込んでいるなら、給水側が止まらず、タンクが溢れまいとして便器へ逃がしている状態です。
この場合、浮きの位置調整で改善することがあります。浮き球ならアームの角度やネジで水位設定を変えられるタイプがあります。フロートカップ(縦型の浮き)ならスライド部のクリップやネジで高さを変える構造が多いです。調整は一気に変えるのではなく、数ミリ〜1センチ程度ずつ動かして、止水→少し開ける→水位確認を繰り返すのが失敗しにくいです。
ただし調整しても給水が止まりきらず、常に水が出続ける場合は、ボールタップ内部の摩耗・異物噛みが疑われます。ここまで来たら、無理に分解清掃に突っ込むより、部品交換か業者判断に切り替える方が、結果的に安く済むことが多いです。
よくある原因3:タンク内レバー・鎖の「引っ張りっぱなし」
レバーを回すと鎖が引かれ、ゴム弁が持ち上がります。鎖が短すぎたり、途中で絡んだり、レバーが戻り切らないと、弁が半開きになり水が止まりません。確認は簡単で、レバーを軽く動かして戻る感触があるか、鎖が常に張っていないかを見るだけです。
鎖の遊びは重要で、遊びがゼロだと弁が少し浮きますし、遊びが大きすぎるとレバーを回しても弁が十分に開かず洗浄力が落ちます。ここは“ちょうどいい緩み”が必要で、目安としては、鎖がたるんでタンク底に触れるほどは不要ですが、ピンと張らず、軽く揺れる程度が多くの機種で安定します。
【レベル1】タンクレスの初期対応:止水と「誤作動」を切り分ける
タンクレスで水が止まらない場合、見えるタンクがない分、焦りが増えます。しかしやることは同じで、まず止水栓を閉めて被害を止めます。その上で「水がどこから出ているか」を見ます。便器内へ水が流れ続けるのか、ノズル洗浄や自動洗浄が繰り返されるのか、あるいは本体内部で給水音だけが続くのか。観察が原因推定の精度を決めます。
タンクレスで多いのは、センサーの誤検知により洗浄が繰り返されるパターンです。便器前の物影、強い日差しの反射、近くの暖房やファンの振動、人の出入りが多い環境などがトリガーになることがあります。まずは便器前を片付け、センサー周辺を乾いた布で軽く拭き、電源の入れ直し(プラグを抜ける安全状態なら)を試すと改善することがあります。
ただし、タンクレスは構造上、内部の弁や基板の不具合が絡むとDIYの限界が早く来ます。止水しても本体が何度も動こうとする、異音や異臭がする、エラー表示が出る場合は、メーカーサポートや設備業者の領域です。
【レベル2】専用道具を使った本格的対処:タンク式の部品交換・止水栓まわり
ここからは「交換前提」で考える:ゴム弁・ボールタップは消耗品
タンク式のトラブルは、掃除や調整で直ることもありますが、経年の硬化や摩耗が進んでいると、何度直しても再発します。ゴム弁は水に浸かり続けるため、柔らかさが失われると密閉できません。ボールタップも内部のパッキンが痩せると、閉じる力が弱くなります。
交換に必要な道具はモンキーレンチやウォーターポンププライヤー、プラスドライバーなどですが、実は「道具の強さ」より「止水と水抜き」が重要です。止水→タンクを空にする→バケツとタオルで受ける準備、これができていれば落ち着いて進められます。
注意点として、機種により部品形状が違い、汎用品が合わないことがあります。型番がわかるなら同型番対応品が安全です。型番が不明でも、タンク内のメーカーラベルや品番シールで辿れる場合があります。ここを飛ばすと「買ったのに合わない」が発生し、時間も気持ちも消耗します。
止水栓自体が原因のこともある:閉めても水が止まらない場合
止水栓を閉めたのに、タンクに水が入り続ける場合、止水栓の内部が劣化して閉じきっていない可能性があります。逆に止水栓をいじった途端に周囲が濡れ始めるなら、パッキン劣化や接続部の緩みが露呈した可能性があります。
ここでの判断は、無理に回し続けないことです。止水栓が破損すると、最終的に建物側の元栓を閉める必要が出ることもあります。集合住宅では共有部の止水に関わるため、管理会社や設備業者へ切り替えるのが現実的です。
【レベル2】タンクレスの本格対応:フィルター洗浄と水圧の見直し(ただし限界を知る)
タンクレスで「止まらない」「挙動がおかしい」場合、給水口付近のフィルター(ストレーナー)に砂やスケールが詰まり、弁が正常に閉じられないことがあります。メーカー取説でフィルター位置が明記されている機種なら、止水→圧抜き→フィルター取り出し→水洗い、という流れで改善する例があります。
しかし、ここは誤ると水が噴き出したり、小部品を紛失したりします。取説が手元にない、構造が分かりにくい、作業スペースが狭い場合は、無理に触らない方が結果的に安全です。タンクレスは電気・水・機械が密集しており、“水回りだけのDIY”より難易度が上がります。
【ケーススタディ】住居環境別の注意点:戸建てと賃貸で判断が変わる
戸建ての場合:元栓対応ができるが「水害の範囲」が広がりやすい
戸建ては最悪、建物の元栓で止水できます。その安心感はありますが、裏を返すと「漏れを放置してしまいがち」です。床下へ水が回ると乾燥に時間がかかり、カビや腐食が進むことがあります。トイレの床がクッションフロアでも下地が木材なら油断は禁物です。
また戸建ては給水圧が高めのケースもあり、タンクレスの挙動に影響することがあります。水圧が安定しない、ポンプの影響があるなど、家庭の設備条件が原因になる場合は、機器単体では解決しません。
マンション・アパート(賃貸)の場合:勝手な分解はリスク、記録が守りになる
賃貸では、自己判断で部品交換や分解を進めると、管理規約や原状回復の扱いで揉めることがあります。とくにタンクレスや温水洗浄便座一体型は、設備として貸与されていることが多く、修理は管理会社経由が原則のケースもあります。
このとき役に立つのが「記録」です。便器内の水の流れ方、タンク内の水位、止水栓を閉めたときの変化、床の濡れ具合をスマホで撮っておくと、やりとりがスムーズになります。プロとしての裏技に近い話ですが、写真があるだけで原因推定が一気に進み、訪問回数が減ることが珍しくありません。二度手間を避けたい人ほど、記録が効きます。
比較検討(自力 vs プロ依頼の最終判断):境界線をはっきりさせる
ここまで読んで「自分でやれそう」「いや、怖い」と感覚が分かれたはずです。判断は感情だけでなく、境界線を言語化すると迷いが減ります。
自力でやってOKになりやすいのは、タンク式で、床が濡れておらず、止水栓が正常に閉まり、タンク内の“引っ掛かり”や“鎖の絡み”のような調整で解決しやすい症状に限られます。一方で、止水できない、濡れが広がっている、タンクレスでエラーや異臭がある、こうした場合はプロ領域です。
| DIY(自力対応)の目安 | 業者依頼(プロ対応)の目安 |
|---|---|
| 費用感は数百円〜数千円(掃除・軽い調整、消耗品の一部交換)。ただし部品を間違えると追加出費になりやすい。 | 費用感は数千円〜数万円(出張・診断・部品・作業)。水漏れの二次被害を避ける価値が大きい。 |
| 時間は30分〜2時間が目安。止水→観察→調整→確認を丁寧に回せるかがカギ。 | 時間は訪問から1〜2時間程度が多いが、部品取り寄せで後日になる場合もある。 |
| リスクは「部品破損」「適合違い」「止水栓のトラブル誘発」。タンクレスは特に難度が上がる。 | メリットは「原因特定が早い」「再発防止まで設計できる」「賃貸での手続きが通しやすい」。 |
| 向くケース:タンク式で床が乾いている、鎖絡み・浮きの引っ掛かり・軽い水位調整で改善しそう。 | 向くケース:止水できない、床が濡れている、タンクレスで異臭/異音/エラー、原因が複合している。 |
この表は「どちらが正しいか」を決めるものではなく、「あなたの状況をどちらに寄せると安全か」を見極める地図です。特に、止水できるかどうかは大きな分岐点です。止水できない状態でDIYを続けるのは、火のついたコンロの前で慌てて料理を続けるようなものです。まず火を消す、つまり水を止める。これがプロの常識です。
また賃貸の場合は、「DIYで頑張る」ことが必ずしも得になりません。管理会社の修理ルートがあるなら、状況説明を整えて依頼した方が結果的に早い場合があります。逆に戸建てで、軽症で、部品の適合が取れるならDIYは合理的です。大事なのは、あなたの目的が「最安」なのか「最短」なのか「二度手間ゼロ」なのかを先に決めることです。
予防とメンテナンス(二度と繰り返さないために):毎日の“ながら点検”が最強
トイレの「止まらない」は、突然というより、前兆が小さく出ていることが多いです。だからこそ、日常の小さな習慣が効きます。
まず、トイレを使った後に、便器奥に透明な水筋が残っていないかを一瞬だけ見る習慣をつけます。水面がずっと揺れている、音が消えないときは、その場で気づけます。次に、床の隅や止水栓まわりを週1回、トイレットペーパーで軽く押さえて湿り気がないか確認します。指で触るより、紙の方が湿りに敏感です。
タンク式なら、半年〜1年に一度、タンクのフタを開けて、鎖が絡んでいないか、浮きが壁に当たっていないかを確認します。タンク内の掃除は強い洗剤でゴムを傷めることがあるため、洗浄剤の使用は取説に従い、ゴム弁周辺は“こすりすぎない”のがコツです。
おすすめの予防グッズとしては、止水栓用の小さなマイナスドライバーをトイレ収納に常備すること、吸水性の高い小タオルを1枚置くことが現実的です。高価な道具より、すぐ使える環境が「被害の拡大」を止めます。
Q&A(よくある質問とマニアックな疑問)
Q1. 便器の中でチョロチョロ流れているだけでも、急いだ方がいいですか?
はい、急ぎ度は高いです。床が濡れていないなら緊急避難ではありませんが、チョロチョロは「内部の密閉が崩れているサイン」で、水道代と部品の摩耗が積み上がります。まず止水栓で一度止め、ゴム弁・鎖・水位を確認すると、原因が見えやすいです。
Q2. タンクの中の水位が高すぎる気がします。どこまでが正常ですか?
多くのタンクでは、オーバーフロー管の上端より少し下が目安です。水面が管へ流れ込んでいるなら高すぎます。ただし機種で適正水位が違うため、タンク内の刻印や取説の基準が最優先です。
Q3. 止水栓が固くて回りません。潤滑剤を吹いていいですか?
おすすめしづらいです。止水栓は水道部品なので、潤滑剤が内部へ回り込むとゴムを傷める可能性があります。まず周辺を乾かし、ドライバーでゆっくり一定の力で回して反応を見る。それでも動かないなら、無理に回さず業者判断が安全です。
Q4. タンクレスで水が止まらないのに、エラー表示は出ません。自分で直せますか?
軽い誤検知や一時的な不具合なら、周辺物の整理、センサー周りの乾拭き、電源の入れ直しで落ち着くことがあります。ただし内部の弁や基板が絡むとDIYの難度が上がるため、改善しなければメーカーサポートに切り替えるのが現実的です。
Q5. 断水復旧後から水が止まらなくなりました。関係ありますか?
関係がある可能性は高いです。復旧時に配管内の砂やサビ片が動き、ゴム弁の座面や給水弁に噛むと密閉不良が起きます。タンク式はゴム弁周辺の異物確認が効きますし、タンクレスはフィルター(ストレーナー)の目詰まりが関係することがあります。
Q6. 水が止まらないのに、レバーの戻りが悪い気がします。これが原因?
原因になり得ます。レバーが戻り切らないと鎖が引っ張られ、ゴム弁が半開きになりやすいです。レバー可動部の引っ掛かり、取付ナットの緩み、鎖の絡みを順に見ていくと、改善することがあります。
Q7. タンクのフタを開けるのが怖いです。割ったらどうしよう…
その不安は正しいです。陶器のフタは欠けやすいので、両手で持ち、硬い床に落とさないだけでリスクは大きく下がります。置き場所を先に確保し、タオルを敷いておくと安心です。それでも不安なら、止水だけして業者へ切り替えるのも十分合理的です。
Q8. DIYで部品交換したいのですが、型番が分かりません
タンク内や便器の側面、フタ裏などに品番シールがあることがあります。見つからない場合は、メーカー名とタンクの形状、内部部品の写真を撮ると、ホームセンターや業者が推定しやすくなります。無理に“似ている部品”で進めると適合違いの失敗が増えます。
Q9. 業者を呼ぶ前に、最低限まとめておくべき情報は?
第一に、タンク式かタンクレスか。第二に、便器内で水が流れているのか、タンク内で給水音が止まらないのか。第三に、止水栓を閉めたら止まるか。第四に、床の濡れがあるか。これだけで初動が変わり、見積もりや作業がスムーズになります。
まとめ:水が止まらないときこそ「止水→観察→切り分け」が勝ち筋
トイレの水が止まらないトラブルは、焦るほど判断が雑になり、二度手間の原因になります。しかし手順を守れば、状況は驚くほど整理できます。
まずは止水栓を閉めて被害を止める。次にタンク式なら給水側か排水側かをタンク内で見分け、鎖の絡み・浮きの引っ掛かり・ゴム弁の密閉不良を順に当たります。タンクレスなら誤作動・フィルター・弁や基板の領域を意識し、無理に分解せず、限界を見極めることが安全につながります。
最後に、あなたがいま一番求めているのは「最安」ではなく、「失敗しない判断」かもしれません。迷うのは当然です。だからこそ、この記事の手順を“そのまま”なぞってください。焦りが手順に変わった瞬間、解決はもう半分終わっています。
Next Step:読み終わった今、最初の1アクション
今この瞬間にやるべき最初の1アクションは、止水栓を閉めて、便器内の水の動きが止まるかを30秒観察することです。止まったなら原因は給水側の継続供給で、次にタンク式かタンクレスかで本記事の該当章へ進めます。止まらない、床が濡れる、異臭がするなら、安全側に倒して業者対応へ切り替えてください。

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