浴室の排水口から水が「ゴボッ」と上がってきたり、洗い場に薄く水が広がっていったりすると、頭が真っ白になりますよね。しかもお風呂は、裸足で触れる場所です。汚れた水が逆流したかもしれない、下の階に漏れたらどうしよう、今日このあと入浴できるのか——その不安、痛いほどわかります。
ここでまず大切なのは、あなたの状況が「今すぐ止めるべき危険な逆流」なのか、それとも「落ち着いて切り分けできる逆流」なのかを、最初の数分で見極めることです。逆流は、原因が浴室の目の前(ヘアキャッチャーやトラップ付近)にあることもあれば、建物全体の排水系統(縦管・横引き・汚水桝など)にあることもあります。つまり、自分でできる範囲と、手を出すほど悪化しやすい領域がはっきり分かれるトラブルです。
この記事では、逆流のメカニズムから、原因の特定、レベル別の対処手順、そして「ここから先はプロ」という境界線まで、浴室逆流の全パターンを想定して徹底的に解説します。読み終わる頃には、「自分が今やるべき最短ルート」と「頼るべき相手」が明確になるはずです。
※この記事は、住まい・生活トラブル分野の専門的知見を持つライターが、製品仕様や一般的な施工基準に基づき執筆しました。状況により専門業者の判断が必要な場合があります。
まず最初に:逆流は「止水」と「汚染拡大防止」が最優先
逆流に気づいた瞬間、やりがちなのが「とりあえず流して押し出そう」とシャワーを出したり、浴槽のお湯を排水したりする行為です。これは状況によっては逆効果になり、逆流量を増やし、汚水を浴室全体に広げる可能性があります。
第一に、洗い場の排水口から逆流しているなら、シャワーや蛇口は止めます。第二に、浴槽の排水はしないでください。浴槽の水量は想像以上に大きく、詰まりの手前でせき止められると床上に一気に戻ることがあります。第三に、洗面台やキッチン、洗濯機など別系統の排水も一旦「止める」のが安全です。なぜなら、マンションや戸建てでも排水の途中で合流しているケースが多く、別の水が原因箇所へ追い打ちになるからです。
床に溜まった水は、雑巾やタオルで吸ってバケツに移します。排水口へ戻さず、可能ならトイレへ流すか、屋外の排水に捨てます。ここで「排水口へ戻す」は、詰まりの手前に再投入しているだけなので、再逆流の原因になりやすいです。
トラブルのメカニズム解剖:なぜ浴室は逆流しやすいのか
排水は「勾配」と「空気」と「封水」で成り立っている
浴室の排水は、床の排水口からトラップ(排水トラップ)を通り、床下の横引き管へ流れ、さらに縦管(立て管)や屋外の排水桝・下水へ向かいます。この流れは、単に水が落ちていくだけではなく、配管の勾配(傾き)と、配管内の空気の通り道が揃って初めてスムーズになります。
ここで重要なのが「空気」です。コップを水に沈めるとゴボゴボするように、配管の中を水が移動するには空気の入れ替えが必要です。詰まりが進むと、水だけでなく空気の通りも悪くなります。すると、排水が遅い、ゴボゴボ音がする、泡が上がる、そして最後に逆流、という順に症状が進行しやすいのです。
髪・石けんカス・皮脂は、配管の中で「フェルト状の栓」になる
浴室詰まりの代表格は髪の毛ですが、本当の厄介者は髪そのものより、髪に絡みつく石けんカスと皮脂です。石けんやボディソープは、硬度がある水や皮脂と反応して「金属石けん(石けんカス)」になりやすいと言われます。これが髪に絡むと、繊維のような塊になって水の通り道を狭めます。さらにシャンプーの粘性成分、入浴剤の溶け残り、ぬめり菌(バイオフィルム)が層を作り、水圧で押しても戻ってくる弾力のある詰まりになりがちです。
封水(トラップの水)が乱れると「臭い」と「逆流」が同時に出やすい
排水口のトラップには臭いを止めるための水、いわゆる封水が溜まっています。逆流が起きるとこの封水が撹拌され、悪臭が上がりやすくなります。また詰まりが配管の奥ほど、圧力がかかって封水が押し上げられ、洗い場に水が溜まるという形で症状が見えてきます。
放置のリスク:1週間後・1ヶ月後に起きること
「今日は流れが悪いだけだから、週末にやろう」と先延ばしにすると、詰まりはだいたい悪化します。1週間程度でも、髪の塊にぬめりが増え、同じ対処でも取りにくくなります。具体的には、シャワーを3〜5分流すと足首付近まで水位が上がるなど、体感で悪化が分かることが多いです。
1ヶ月放置すると、つまりが配管の接合部や曲がり部分に定着し、ラバーカップや簡易クリーナーでは動かないレベルになりやすいです。さらに怖いのが、逆流時に床に溜まった水が浴室の出入口から廊下側へ回り込み、床材や巾木(壁の下部)に吸い上げが起きることです。賃貸や集合住宅では、階下漏水の疑いが出た瞬間に対応が一段重くなり、精神的負担も跳ね上がります。
つまり、逆流は「そのうち」ではなく「今」止めて切り分ける価値が高いトラブルです。
準備編:プロが選ぶ道具と環境づくり
まず揃えたい道具:なぜそれが必要なのか
浴室逆流の対応で重要なのは、原因を「手前」から「奥」へ順に疑うことです。そのために、道具も段階に合わせて用意します。第一に、ゴム手袋は必須です。逆流水には雑菌が含まれる可能性が高く、皮膚の小さな傷から炎症につながることがあります。厚手のキッチングローブでも代用できますが、できれば手首まで覆うタイプが安心です。
第二に、ライト(懐中電灯やスマホライト)です。排水口周りは影ができやすく、髪の塊や部品のはまり具合を見落としやすいからです。第三に、古いタオルとビニール袋です。取り出した髪やぬめりは、その場で袋へ封じると臭いが広がりません。
第四に、ラバーカップ(スッポン)です。浴室用は、排水口の形状に合うものが必要です。排水口のフタ周りがフラットなら一般的なカップでも効くことがありますが、凹凸があると密閉できず空振りします。100均の小型カップは「軽い詰まり」なら役立つこともありますが、逆流レベルでは密閉力が足りないことが多く、結果的に二度手間になりやすいです。
第五に、パイプ用ワイヤーブラシ(ワイヤー式の詰まり取り)です。ホームセンターで売っている3〜5m程度のものが、浴室の横引き程度なら届きやすいです。ただし、トラップや曲がりで引っ掛けやすいので、後述の「NG」を理解した上で使うのが前提になります。
第六に、パイプクリーナー(液体タイプ)を検討します。ただし「逆流している=水が溜まっている」状態で強力薬剤を入れると、濃い薬液が滞留し、皮膚や床材を傷めるリスクが上がります。薬剤は万能ではなく、使う順番と濃度管理が大切です。
作業環境:養生・換気・安全確保
作業前に、浴室の換気扇は回し、可能なら窓も開けます。薬剤を使わなくても、逆流水の臭いで気分が悪くなることがあります。床は滑りやすいので、最初に水を拭き取り、足元は滑りにくいスリッパを履くのがおすすめです。さらに、排水口周りに置いてあるシャンプーボトルなどは一旦外に出し、作業スペースを確保します。これだけで、焦りが半減します。
もう一点、賃貸・集合住宅の場合は「写真」を撮っておくと良いです。逆流の程度、床の水位、排水口周りの状態をスマホで記録しておくと、管理会社や業者に状況が伝わりやすく、説明のストレスが減ります。
実践編:原因を特定する「切り分け」から始める
ここからは、やみくもに道具を使うのではなく、「どこで詰まっているか」を推定していきます。結論から言うと、浴室単体の詰まりか、建物側(共用・屋外)の詰まりかを見分けるのが最重要です。なぜなら前者ならDIYで改善しやすく、後者はあなたが頑張るほど被害が広がりやすいからです。
【レベル1】初心者でも可能な初期対応(DIY)
手順0:今の症状が「逆流」か「流れが遅いだけ」かを定義する
まず、排水口から水が「上がってくる」のが逆流です。一方で、流れが遅くて洗い場に水が溜まるだけなら、詰まりは軽い可能性があります。ただし、溜まった水面に泡が浮く、ゴボゴボ音が強い、排水口から臭いが強い場合は、逆流に近い段階と捉えた方が安全です。
手順1:排水口のフタ・ヘアキャッチャー・目皿を外し、目視で「手前の詰まり」を取る
ここは実況中継のようにやります。まず手袋をつけ、排水口のフタを外します。次にヘアキャッチャー(髪受け)をゆっくり持ち上げます。ここで勢いよくやると、溜まった汚れた水が跳ねて衣類に付いたり、髪の塊が配管側へ落ちたりします。
ヘアキャッチャーに髪が絡んでいたら、ティッシュでつまんでビニール袋へ入れます。粘りが強い場合は、古い歯ブラシで軽くこそげると外れやすいです。さらに、ヘアキャッチャーの下の目皿(パーツがあるタイプ)や、排水トラップの上部にぬめりの輪が付いていれば、そこも拭き取ります。ここまでで「水の通り道」が広がるだけでも、流れが大きく改善することがあります。
この時点で、バケツに2〜3Lのぬるま湯(40℃未満)を用意し、排水口へ一気に流してみます。水位がすっと下がるなら、手前詰まりの可能性が高いです。一方でゴボゴボと戻り、すぐ水位が上がるなら、詰まりは奥へ進んでいます。
手順2:排水トラップ(封水筒・ワントラップ)を外せるなら外して洗う
浴室の排水口には、部品が上に引き抜ける構造のものが多いです。具体的には、筒状のパーツやカップ状のパーツがあり、そこにぬめりが溜まって封水の流路を狭めます。外す前に、スマホで写真を撮っておくと、戻すときに迷いません。
外した部品は、バケツの中でぬるま湯と中性洗剤を使って洗います。ここで熱湯を使うと、樹脂部品が変形し、はめ込みが甘くなって臭い漏れの原因になることがあります。洗い上げたら、装着位置を確認して、カチッと奥まで戻します。再びぬるま湯を流し、改善度を確認します。
手順3:軽い詰まりなら「ぬるま湯+時間」で溶かす(薬剤なし)
髪の絡みが少なく、皮脂・石けんカスの粘りが中心っぽい場合、薬剤を使わなくても改善することがあります。ポイントは「温度」と「待ち時間」です。40℃前後のぬるま湯を2〜3L流し、10〜15分放置します。これで皮脂が柔らかくなり、流路が広がりやすいです。その後、もう一度同量を流してみて、流れが良くなるか確認します。
ただし、逆流が強い場合はこの方法で水位が上がるリスクがあるので、必ず少量から試します。試す量をケチるのではなく、水位を見ながら追加するのがコツです。
【レベル2】専用道具を使った本格的な対処法
レベル1で改善しない場合、詰まりはトラップの先、つまり床下の横引き管や、その先の合流点付近にある可能性が高いです。ここからは「押す」のではなく「動かして崩す」発想が必要です。ただし、ここで無理をすると、詰まりを奥へ押し込んで逆流が悪化することがあるため、手順とNGをセットで理解してください。
方法1:ラバーカップ(スッポン)で「密閉」と「圧の往復」を作る
浴室でラバーカップを使うとき、最大のポイントは密閉です。排水口の周りに凹凸があると空気が漏れ、圧が配管へ伝わりません。そこで、排水口周りに濡らしたタオルを当てて隙間を埋めたり、カップの縁をしっかり水に浸けたりして、空気漏れを減らします。
次に、洗い場に水を溜めます。目安は、カップのゴム部分が完全に水に沈む量です。水が少ないと空気だけが動き、詰まりが動きにくいです。カップを排水口に当てたら、ゆっくり押し付けて密着させ、次にグッと引きます。ここで勢いだけで何十回もやると、水が跳ねて大惨事になりがちです。まずはゆっくり10回、次に少し強めに10回、と段階を上げます。
途中で「ゴボッ」と音が変わったり、水位がストンと落ちたりしたら、詰まりが動いたサインです。その瞬間に、いきなり大量の水を流して確認しないのがコツです。少量のぬるま湯を流し、再逆流がないか見てから段階的に増やします。ここを急ぐと、ようやく動いた詰まりが別の場所で引っ掛かり、症状が分かりにくくなることがあります。
やりがちNG:排水口のフタをしたままスッポンする
意外と多い失敗が、フタやヘアキャッチャーの上からスッポンしてしまうことです。圧が配管に届かず、ぬめりだけが飛び散って終わり、というケースがよくあります。必ずパーツは外し、排水口の「本体開口部」に密着させます。
方法2:ワイヤー式の詰まり取りで「引っ掛けて回収」する
ワイヤーは強力ですが、扱いを間違えるとトラップや配管の曲がりで固着し、抜けなくなることがあります。ここがプロに任せる境界線の一つです。それでもDIYで試すなら、まずトラップ部品を外し、できるだけ直線でワイヤーを入れられる状態を作ります。
ワイヤーは、一気に奥まで突っ込まず、10〜20cmずつ入れ、抵抗が出たら無理に押し込みません。抵抗が出た地点で、ワイヤーを軽く回しながら前後させると、髪の塊に絡みやすいです。ここで「押す」より「絡めて引く」を意識します。引き抜いたら、先端に絡んだ汚れを必ず除去し、再び同じ操作を繰り返します。汚れが付いたまま再投入すると、配管内にこすり付けるような形になり、別の場所で固まりやすいからです。
作業の途中で、ワイヤーが明らかに動かなくなった場合は、無理に引かず、少し押して回してから戻すなどして、テンションを逃がします。それでも抜けない、ワイヤーが「バネのように跳ねる」感触が出たら、無理は禁物です。ここから先は、専門業者のドレンクリーナー(電動ワイヤー)や高圧洗浄が安全です。
やりがちNG:ワイヤーで「詰まりを奥に押し込む」
ワイヤーを力で押すと、髪の塊を合流点へ押し込み、そこで更に堆積して大きな栓になります。特に集合住宅は合流点が多く、詰まりが移動すると被害が広がることがあります。抵抗があるときは押さず、回しながら絡めて引く、これが鉄則です。
方法3:薬剤(パイプクリーナー)を使うなら「条件」を守る
薬剤は、皮脂やぬめりの分解に有効なことがあります。一方で、髪の毛の絡みが主原因の場合、劇的改善は期待しにくいこともあります。さらに、逆流して水が溜まっている状態で強い薬剤を使うと、濃度が高いまま滞留し、皮膚や床材への刺激が増えます。
薬剤を使う条件は、第一に、水位が落ち着いていて「少量なら流れ込む」状態であることです。第二に、換気ができること。第三に、他の洗剤と混ぜないことです。特に塩素系と酸性の混合は危険なので、前に使った洗剤が残っていそうなら、まず十分に水で流してからにします。
使い方は製品表示が最優先ですが、一般論としては「規定量を入れて、規定時間きっちり待ち、ぬるま湯で流す」という順が基本です。ここで待ち時間を短縮したり、熱湯で一気に流したりすると、反応が不完全で、取り切れなかった汚れが再付着しやすくなることがあります。
【ケーススタディ】住居環境別の注意点:戸建て vs マンション・賃貸
戸建ての場合:屋外の排水桝(汚水桝・雑排水桝)に原因があることがある
戸建てで浴室が逆流する場合、浴室単体の詰まりだけでなく、屋外の排水桝が詰まっているケースがあります。例えば、屋外桝に汚れや油脂が溜まって流れが悪くなると、家の中の低い位置(浴室)から症状が出やすいです。もし屋外桝のフタを安全に開けられ、悪臭や水位の異常が見えるなら、そこが原因の可能性があります。
ただし、桝の清掃は高圧洗浄や掻き出しが必要になることが多く、汚れも強烈です。無理に触ると周囲に飛散し、近隣トラブルになることもあります。屋外桝が怪しい時点で、設備業者への相談が現実的です。
マンション・アパート(賃貸)の場合:共用配管・階下漏水リスクが大きくなる
集合住宅で怖いのは、詰まりが「あなたの部屋の中」ではなく、共用の縦管や合流部にある場合です。この場合、あなたがいくら浴室の排水口を掃除しても改善せず、さらに水を流すほど下流が詰まって逆流が増え、最悪は別の部屋にも影響する可能性があります。
また、逆流水が浴室外へ回った場合、床下へ浸水する危険があります。賃貸では、管理会社・大家さんへの連絡が早いほど、対応がスムーズになりやすいです。自分でできるのは、手前の部品清掃と、少量の水での確認まで。逆流が再発する、他の排水(キッチン・洗面)もおかしいと感じたら、個人のDIYを続けるより、建物側の点検が優先です。
自力 vs プロ依頼の最終判断:境界線をここで切る
ここからは、迷いが一番つらい部分です。「業者に頼むほどでは…」と思いながら、何回も同じ作業を繰り返して疲れてしまう。逆流は、まさにこのパターンが多いです。判断の境界線を、できるだけ具体的に置きます。
第一に、浴室の手前部品(ヘアキャッチャー・トラップ)を清掃しても改善がなく、ラバーカップを正しく使っても水位が落ちない場合は、詰まりが奥にある可能性が高いです。第二に、浴室だけでなく洗面・キッチンの流れも遅い、ゴボゴボ音が他の排水口からもする場合、建物全体・幹線側の詰まりの可能性が上がります。第三に、逆流水が濁っている、臭いが強烈、固形物が混じる場合は、衛生面のリスクが高く、長期戦に向きません。
さらに、ワイヤーが引っ掛かって抜けない兆候がある、薬剤を入れても水位が上がる、浴室外まで水が回った、こうした状況は「これ以上はプロ」が安全です。ここで無理をして被害が広がると、修理費だけでなく清掃・復旧・場合によっては保険手続きまで絡んできます。
| 比較項目 | DIY(自分で対応) | 業者依頼(プロ対応) |
|---|---|---|
| 費用感 | 道具代が中心。手袋・清掃用品は数百円〜。ラバーカップやワイヤーは数千円の投資になることがある。 | 軽作業の詰まり除去から、状況により高圧洗浄などで上がることがある。夜間・緊急は割増が発生しやすい。 |
| 時間 | 準備から片付けまでで1〜3時間程度かかることが多い。改善しない場合は繰り返しで消耗する。 | 予約や到着待ちはあるが、作業自体は短時間で終わることが多い。原因特定も含めて一回で収束しやすい。 |
| リスク | 詰まりを奥へ押し込む、薬剤で床や皮膚を傷める、逆流を増やす可能性がある。賃貸では説明責任の負担が増える。 | 費用はかかるが、機材と経験でリスクを抑えられる。集合住宅の共用部が原因の場合も、適切な連絡先へ繋がりやすい。 |
| 向いている状況 | 手前部品の目詰まり、軽い流れの悪さ、少量の水で改善が見えるケース。 | 逆流が繰り返す、他の水回りも不調、ワイヤーが効かない・引っ掛かる、床外へ水が回ったケース。 |
この表の読み方のコツは、「費用で迷う」より「被害の拡大リスクで判断する」ことです。浴室逆流は、詰まりが奥にあるほどDIYの成功確率が下がり、失敗したときのダメージが上がります。特に集合住宅は、あなたの頑張りが家全体の排水負荷になりやすいので、早めに相談するほど結果的に安く済むことも珍しくありません。
それでも迷うなら、「少量の水で状況が改善する兆しがあるか」を指標にしてください。清掃後に2〜3Lでスッと落ちる、ラバーカップで水位が下がるなど、変化が見えるならDIY継続の価値があります。一方で、何をしても水位が上がるなら、そこは境界線です。
予防とメンテナンス:二度と繰り返さないために
日常の「ながら掃除」で逆流の芽を摘む
浴室排水の詰まりは、突然起きたようで、実は日々の蓄積です。最も効くのは、入浴後にヘアキャッチャーの髪を毎回取り、ティッシュで捨てる習慣です。これだけで、髪とぬめりの複合栓ができにくくなります。さらに週1回、トラップ部品を外してぬるま湯で洗うと、石けんカスの層が厚くなる前に落とせます。
また、シャワーで流す前に、床の泡を軽く集めてから排水へ流すと、無駄な洗剤成分が減り、配管内のぬめりが育ちにくくなります。少し手間に見えますが、逆流のストレスを思い出すと、十分に元が取れる行動です。
おすすめの予防グッズと環境改善
目の細かいヘアキャッチャーは髪をよく捕まえますが、その分こまめな清掃が必要です。掃除が続きにくいなら、取り替え式のネット(排水口ネット)を使うと心理的ハードルが下がります。ネットは「目詰まりしやすい」面もあるので、入浴後に外して捨てる運用が前提です。
また、換気をしっかりすると、ぬめり菌が増えにくくなり、詰まりの芯が育ちにくいです。換気扇は入浴後1〜2時間回すなど、湿気を残さない運用が有効です。
Q&A:よくある質問とマニアックな疑問
Q1. 逆流した水はどこまで汚い?触ってしまった…
逆流水は、配管内のぬめりや汚れを巻き上げている可能性が高いです。触ってしまったら、まず流水と石けんでよく洗い、皮膚に傷がある場合は消毒を検討します。衣類やタオルに付いた場合は、他の洗濯物と分けて洗うと安心です。
Q2. 逆流が一度だけで、その後は流れる。放置していい?
一度でも逆流したなら、詰まりが「動いた」か「一時的に抜けた」可能性があります。再発しやすいので、少なくともヘアキャッチャーとトラップ清掃は当日中に行い、翌日以降も排水の音や水位変化を観察してください。ゴボゴボ音が残るなら、奥の詰まりが進行している可能性が高いです。
Q3. ラバーカップで改善したが、数日でまた遅くなる
これは「芯が残っている」サインです。ラバーカップで一部が崩れたものの、配管内壁のぬめり層や髪の塊が残っていると、そこへまた汚れが絡み、短期間で再詰まりします。トラップ清掃を徹底し、必要ならワイヤーや薬剤を正しく併用し、それでも繰り返すならプロへの相談が現実的です。
Q4. パイプユニッシュなどを入れたのに逆に悪化した気がする
水が溜まっている状態で薬剤を入れると、濃い薬剤が動かず、汚れが溶けてゲル状になり、流路をさらに狭めたように感じることがあります。また規定時間を守らず流すと、中途半端に剥がれた汚れが別地点で固まるケースもあります。今は追加投入せず、十分な換気のもとで水位が落ち着くのを待ち、手前清掃と少量水での確認に戻るのが安全です。
Q5. 戸建てで、浴室以外は普通。屋外桝を見た方がいい?
浴室だけの不調なら、まずは浴室の手前詰まりを疑うのが基本です。ただし、屋外桝の水位が高い、臭いが強いなど明らかな異常があれば、桝が原因の可能性があります。安全に開けられない、汚れが強烈で手に負えないと感じたら、無理せず業者に任せた方が結果的に早いです。
Q6. 賃貸で逆流した。まず誰に連絡すべき?
一般的には管理会社または大家さんが窓口になります。浴室だけの軽症なら清掃で様子見もありますが、逆流がある時点で「建物側の確認」が必要になることがあるため、早めの連絡が無難です。状況写真があると説明がスムーズで、不要な誤解を減らせます。
Q7. 逆流後の消毒はどうすればいい?
まずは汚水を拭き取り、洗剤で洗い流した上で、浴室用の除菌洗剤を使うのが一般的です。塩素系を使う場合は換気を強め、酸性洗剤と併用しないようにします。目に見える汚れが残っていると除菌効果が落ちやすいので、消毒の前に洗浄を丁寧に行うのがポイントです。
Q8. 逆流のとき、浴槽の栓は抜いていい?
基本的には抜かない方が安全です。浴槽の大量の水は、下流が詰まっていると洗い場へ戻り、被害を拡大させます。どうしても浴槽を空にしたい場合は、まず逆流原因を解消してからにします。
Q9. 「ゴボゴボ音」だけなら逆流前兆?
ゴボゴボ音は、配管内の空気がうまく抜けず、封水が揺さぶられているサインであることが多いです。必ずしも逆流に直結するとは限りませんが、排水が遅い・臭いがあるなど他症状が重なると前兆の可能性が高まります。早めの清掃で予防できることが多いので、音が出始めた段階で動くのが賢いです。
まとめ:逆流は「手前から」「少量で」「境界線を守る」
浴室の排水口から逆流が起きたとき、最初にやるべきは、シャワーや浴槽排水を止めて被害拡大を防ぐことです。その上で、手前の部品清掃と、少量のぬるま湯での確認から始めれば、無駄な遠回りが減ります。
そして大事なのは、自分でやるほど悪化しやすい領域が確かにあると知ることです。他の水回りにも症状がある、逆流が繰り返す、ワイヤーが引っ掛かる、浴室外に水が回った——このあたりは「ここから先はプロ」という明確な境界線です。早めに相談することは、負けではなく、被害を最小で止めるための戦略です。
Next Step: まずは今すぐ、排水口のフタとヘアキャッチャーを外し、目視で取れる髪・ぬめりを取り除いてください。その後、バケツで2〜3Lのぬるま湯を流し、水位の変化を観察します。そこで改善の兆しがあるかどうかが、あなたの最短ルートを決める「第一の分岐点」になります。

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