お風呂に入ろうとしてスイッチを押した瞬間、「ゴォォ…」という低い唸り。しばらくすると「カラカラ」「ガタガタ」と音が変わり、換気扇が暴れているように感じる。夜だと近所迷惑も気になり、賃貸なら「壊したらどうしよう」と不安になりますよね。その焦りと居心地の悪さ、痛いほどわかります。
浴室換気扇の騒音は、実は“掃除で直る音”と“故障で止めるべき音”がはっきり分かれます。なのに多くの人が、音の正体がわからないまま闇雲に分解したり、逆に放置したりして、二度手間や余計な出費につながりがちです。この記事では、音の種類から原因を切り分ける方法、レベル別の対処、そしてここから先はプロに任せる境界線まで、現場目線で徹底的に解説します。
最初に深刻度判定です。すぐに処置が必要なケースは、「焦げ臭い」「本体が熱を持つ」「異常に回転が落ちる」「ブレーカーが落ちる」「金属が擦れるような高音が続く」場合です。これはモーターや電装のトラブルの可能性があり、無理に回すほど損傷が広がることがあります。
落ち着いて対処できるケースは、「弱〜中程度のゴォー音が以前より大きい」「運転開始直後だけカタカタ」「フィルター周辺にホコリが溜まっている」などです。この場合、清掃と軽い点検で改善する可能性が高いです。
※この記事は、住まい・生活トラブル分野の専門的知見を持つライターが、製品仕様や一般的な施工基準に基づき執筆しました。状況により専門業者の判断が必要な場合があります。
トラブルのメカニズム解剖:換気扇がうるさくなるのは「空気の抵抗」と「回転体のブレ」が増えるから
浴室換気扇は「風を作る装置」ではなく「空気を引っ張る装置」
浴室換気扇は、羽根で空気を吸い込み、ダクトを通して屋外へ排出します。つまり、吸い込み口(グリル)→ファン→ダクト→外部フードのどこかで抵抗が増えると、モーターは同じ回転を保つために負荷が増え、音が大きくなりやすいです。ここが掃除で直る音の典型パターンです。
ホコリは“積もる”だけでなく“偏る”。偏りが回転体を揺らす
浴室は湿気が多く、ホコリが湿って固まりやすい環境です。ファンにホコリが偏って付着すると、回転バランスが崩れます。自転車のホイールに泥が偏って付くとブレるのと同じで、ファンが振れ、軸受(ベアリング)に余計な力がかかり、ガタガタ音や唸り音が出ます。さらに放置するとベアリングの摩耗が進み、掃除では戻らない段階に入ります。
ダクトが原因のこともある:外の風や虫除け網が音を増幅する
換気扇の音が「風切り音」っぽくなった場合、ダクトや外部フードの抵抗が増えていることがあります。外部フードの網にホコリやクモの巣、落ち葉が付くと通気が悪くなり、換気扇が苦しくなって音が増えます。強風の日だけ音が変わるなら、外気の逆流やフード形状の影響も疑います。
放置のリスク:1週間で電気代とストレス、1ヶ月で故障の確率が上がる
「ちょっとうるさいだけ」と放置すると、まず1週間ほどで換気効率が落ち、浴室の乾きが遅くなります。するとカビの繁殖条件が整い、掃除の負担が増えます。1ヶ月単位で放置すると、ベアリング摩耗やモーター過負荷が進み、結果として交換が必要になる可能性が高まります。つまり、音は“故障の予告”であることが多いのです。
プロが選ぶ道具と環境づくり:換気扇掃除は「安全確保」が9割
必須道具:脚立、養生、掃除機(ブラシ付き)、中性洗剤、綿棒、マイクロファイバー
浴室換気扇は天井作業になりやすいので、安定した脚立が重要です。椅子や浴槽のフチに乗るのは転倒リスクが高いので避けます。養生は、床や浴槽にホコリが落ちても回収しやすくするためで、新聞紙やビニールシートで十分です。掃除機は、ホコリを舞い上げないための必須装備です。ブラシ付きノズルがあると、グリルの溝のホコリを取りやすいです。
100均で代用できるもの・できないもの
代用しやすいのは、養生シート、マイクロファイバー、綿棒、使い捨て手袋です。一方で、脚立は安定性が命なので、無理に代用せず、ぐらつかないものを選びます。また、モーター部に水が入ると危険なので、濡らして絞った布のコントロールが難しい場合は、最初は乾式(掃除機とブラシ)中心の方が安全です。
安全確保:感電と転倒を先に潰す
作業前に換気扇スイッチを切るだけでなく、可能なら浴室換気扇が連動しているブレーカーを落とすと安心です。浴室は湿気があり、濡れた手で電装に触れるのはリスクがあります。服装は滑りにくい靴下や室内履きが良く、首にタオルを巻いて落下ホコリを防ぐと作業が楽になります。換気扇カバーを外すとホコリが落ちるので、目を守るためにメガネやゴーグルも有効です。
【最重要】音で切り分ける:掃除で直る?故障?を“耳と手”で判断する
ゴォー(低い唸り)が大きくなった:負荷増大の可能性が高い
以前より低音が強い場合、吸い込み抵抗が増えてモーター負荷が上がっている可能性があります。フィルターやグリルのホコリ詰まり、ダクト抵抗が代表例です。ここは清掃で改善することが多いゾーンです。
カラカラ(軽い接触音)が断続的:異物かグリルの緩み、またはファンの偏り
運転開始直後だけカラカラ鳴る場合、グリルが少し浮いて振動していることがあります。また、吸い込み口に髪の毛や小さな異物が入り、ファン周辺に触れているケースもあります。点検と清掃の優先度が高いです。
ガタガタ(振動音)が強い:ファンバランス崩れかベアリング摩耗
ガタガタが強い場合、ホコリ偏りでファンが振れていることがあります。この段階なら清掃で収まることもありますが、長期間放置していたならベアリング摩耗が進んでいる可能性があります。掃除後も改善しないなら、修理・交換を視野に入れます。
キーッ(高音の擦れ)が続く:停止して相談が安全
金属が擦れるような高音が続く場合、回転軸やベアリングが限界に近い可能性があります。この状態で回し続けると、焼き付きやモーター故障に発展することがあります。まず停止し、型番確認と相談が安全です。
焦げ臭い/熱い/動いたり止まったり:電装トラブルの可能性
焦げ臭さや異常発熱は要注意です。換気扇は長時間運転する設備なので、電装トラブルは放置しない方が良いです。ここはDIYで頑張る領域ではなく、早めの専門判断が推奨されます。
【レベル1】初心者でも可能な初期対応(DIY):グリルと周辺を“乾式中心”で整える
準備:作業範囲を養生し、ホコリの落下を前提にする
床や浴槽にシートを敷きます。ここで「落ちないように慎重に…」と構えるより、落ちるものとして受け皿を作る方が早くて安全です。脚立を安定させ、手が届く位置で作業できるように調整します。
手順1:グリル(カバー)を外す。外し方が固いときは“捻らず、押して引く”
多くの浴室換気扇は、グリルがバネで留まっています。両手でグリルを支え、少し押し上げてから手前に引くと外れます。ここで無理に捻ると、樹脂が割れたりバネが変形することがあります。外れたら、バネの位置を覚えておきます。写真を撮っておくと戻すときに迷いません。
手順2:掃除機でホコリを吸い、ブラシで溝をほぐす
グリル表側は乾いたホコリが多いので、まず掃除機で吸います。次にブラシで溝の固着ホコリをほぐし、再度吸います。いきなり水洗いすると、ホコリが泥化して溝に残りやすくなります。乾式で8割落としてから湿式に進むのが、プロが失敗しにくい順序です。
手順3:中性洗剤で洗い、完全に乾かす。濡れたまま戻すと再付着が早まる
グリルを中性洗剤で洗い、ぬめりを取ります。すすいだ後は、水滴が残らないように拭き取り、30分〜1時間程度しっかり乾かします。湿ったまま戻すと、ホコリがすぐ貼り付き、また音の原因になりやすいです。
手順4:本体側の見える範囲を乾拭き。奥のモーター部に水を入れない
天井側の本体内部は、見える範囲のホコリを掃除機で吸い、乾いた布で軽く拭きます。濡れた布を奥まで突っ込むと、モーターや配線に水分が触れるリスクがあるため、初心者は“見える範囲だけ丁寧に”が安全です。
確認:運転して音の変化を見る。開始直後と10分後の両方を確認する
掃除後は運転し、開始直後の音と、10分回した後の音を比べます。ホコリ偏りが原因なら、ガタガタが減り、唸りが軽くなることが多いです。変化があれば、レベル1で十分なことがあります。
【レベル2】専用道具を使った本格的な対処法:ファン周りの固着汚れと通気抵抗を狙う
ここからは“無理をしない”前提:分解範囲は説明書の範囲内が基本
浴室換気扇は機種によって分解性が大きく違います。カバーまで外せる機種もあれば、内部のファンはユーザー分解を想定していない機種もあります。説明書や型番検索で、清掃可能範囲を確認し、無理に奥へ触れないことが重要です。
ファンに届く場合:綿棒とブラシで“偏り”を取る意識で掃除する
ファンが見える構造なら、羽根に付いたホコリを少しずつ取ります。ここで大事なのは、全部を完璧に取ろうとするより、偏りを減らすことです。偏りが減れば振動が収まることがあります。濡れを使うなら、固く絞った布で軽く拭く程度に留め、滴下しないよう注意します。
ダクト抵抗が疑わしい場合:外部フードの確認は“安全な範囲”で
一戸建ての場合、外壁の換気フードにホコリやクモの巣が溜まり、抵抗が増えていることがあります。ただし高所作業は危険です。手の届く範囲でフード周りを軽く清掃できるなら有効ですが、無理な脚立作業は避けます。賃貸や集合住宅は勝手に触れない方がよいケースもあります。
失敗しやすいポイント(NG例):潤滑油スプレーを吹く
「うるさい=油を差せばいい」と考え、潤滑油を吹く人がいます。しかし浴室換気扇のベアリングは密閉型が多く、油が届かないことがあります。むしろ油がホコリを呼び、ベタつきが固着して余計にバランスを崩すことがあります。さらに電装部に油が付くとリスクもあります。油で直す発想は、多くのプロが避けます。
独自性(プロの失敗談):掃除で一瞬静か→数日後に悪化したのは“乾かさず戻した”から
現場でも、急ぎの清掃でグリルを湿ったまま戻してしまい、数日でホコリが貼り付き、また唸りが戻った経験があります。浴室は湿気が多く、乾燥不足は再発を早めます。静かさを長持ちさせたいなら、掃除よりも「乾かす工程」を丁寧に取る方が効きます。
【ケーススタディ】住居環境別の注意点:戸建て・賃貸・24時間換気で判断が変わる
戸建ての場合:外部フードとダクトの影響が出やすい
戸建てはダクト経路が長かったり、外部フードに落ち葉や虫が溜まったりして、抵抗が音に反映されることがあります。強風の日だけ音が大きいなら、外部条件の影響を疑うと合理的です。
マンション・アパート(賃貸)の場合:無理な分解は原状回復リスク
賃貸は設備が貸主の所有物で、過度な分解で破損するとトラブルになる可能性があります。グリル清掃までは問題になりにくいですが、内部の分解や配線に触れる行為は避けた方が安全です。掃除しても改善しないなら、管理会社や大家へ相談するのが合理的です。
24時間換気の場合:止める判断が難しい。だからこそ“異常兆候”が重要
浴室換気扇が24時間運転の設定だと、音が気になっても止めにくいですよね。ただし異常発熱や焦げ臭さがあるなら停止して相談が優先です。換気は重要ですが、安全が上位です。
自力 vs プロ依頼の最終判断:境界線を明確にする
自分でやってOK:グリル清掃で改善が見える、異臭や発熱がない、音が軽くなる
掃除で音が明らかに軽くなり、振動が減ったなら、原因はホコリ抵抗や偏りである可能性が高いです。この場合、定期清掃で状態を維持できます。
ここから先はプロ:掃除しても変化なし、キー音が続く、焦げ臭い、異常停止、強い振動
掃除しても音が変わらない場合、ベアリング摩耗やモーター劣化が疑われます。ここで無理に回し続けると交換費用が増えることもあります。停止して型番を確認し、修理・交換の見積もり相談が賢いです。
比較表:DIYにかかる費用・時間・リスク vs 業者にかかる費用・時間・メリット
| 観点 | DIY(自力清掃) | プロ依頼(点検・修理・交換) |
|---|---|---|
| 費用 | 数百〜数千円。道具は再利用可能。 | 点検費・出張費。交換なら本体代も。 |
| 時間 | 30〜60分。乾燥時間は別途必要。 | 予約は必要だが、短時間で原因特定しやすい。 |
| リスク | 転倒・破損・水の侵入・戻しミス。 | 適合判断、施工経験。再発原因も指摘されやすい。 |
表の読み解き方:迷うなら「音の質」と「熱・臭い」の有無で決める
DIYは費用が小さい一方、異常兆候がある場合は危険です。特に焦げ臭さや発熱があるなら、迷う余地は少なく、停止して相談が現実的です。逆に、低音の増大や軽い振動なら、清掃で改善する余地があります。
予防とメンテナンス:二度と“うるさい換気扇”に戻さないために
頻度の目安:月1回のグリル掃除で十分な家庭が多い
浴室の使用頻度が一般的であれば、月1回のグリル清掃でホコリ抵抗の増大を抑えられることが多いです。家族が多い、ペットがいる、脱衣所のホコリが多い場合は、2〜3週間に1回にすると静かさが維持されやすいです。
ながら掃除:入浴後、タオルでグリル表面を軽く拭く
入浴後に換気している間、乾いたタオルでグリルの表面を軽く撫でるだけでもホコリの積層が遅くなります。完璧を目指すより、負担の小さい習慣が再発防止に効きます。
環境改善:脱衣所のホコリを減らすと換気扇が静かになる
換気扇が吸い込むのは浴室内の空気ですが、扉の隙間や換気の流れで脱衣所のホコリも影響します。脱衣所の床のホコリを減らすと、換気扇に入るホコリも減り、結果として騒音の戻りが遅くなります。
おすすめの予防グッズ:掃除機のブラシ、静電モップ、養生シートは“時短”に直結する
特別な高級品より、手元に置いてすぐ使える道具が価値です。掃除機のブラシノズルを換気扇専用に決めておくと、思い立ったときにすぐ吸えて、放置を防げます。
Q&A:よくある質問とマニアックな疑問
Q1:うるさいけど換気はできています。放置していいですか?
換気できていても、音は負荷や摩耗のサインであることが多いです。放置すると換気効率低下や故障につながる可能性があります。まずはグリル清掃で改善するか確認するのが現実的です。
Q2:掃除したら一瞬静かになったのに、また戻りました
乾燥不足でホコリが貼り付きやすくなっている、またはファン奥の偏りが残っている可能性があります。グリルは完全乾燥、そして脱衣所のホコリ対策まで含めると戻りが遅くなります。
Q3:換気扇に潤滑油を差してもいいですか?
多くの浴室換気扇は密閉ベアリングで、油が効きにくいことがあります。むしろホコリを呼び、固着して悪化することがあります。基本的におすすめしません。
Q4:外の換気フードは掃除した方がいいですか?
一戸建てで手の届く範囲なら、クモの巣や落ち葉を除去すると抵抗が減ることがあります。ただし高所は危険です。無理な作業は避け、必要なら業者に任せます。
Q5:賃貸ですが、自分で外して掃除しても大丈夫?
一般的にグリル清掃は問題になりにくいですが、内部の分解や配線に触れる行為は避けた方が安全です。破損リスクがある場合や改善しない場合は管理会社へ相談が確実です。
Q6:音が強い日と弱い日があります。なぜ?
外気条件(風)、室内の湿気、フィルターの状態、ホコリの位置が変わることで音が変動することがあります。強風の日だけ変わるなら外部フード影響を疑います。
Q7:換気扇が熱い気がします。正常ですか?
モーターは発熱しますが、触って熱い、焦げ臭いなどの兆候があれば要注意です。安全のため停止して相談する方が安心です。
Q8:掃除してもガタガタが止まりません。交換ですか?
ベアリング摩耗やモーター劣化の可能性があります。必ずしも即交換とは限りませんが、点検の価値は高いです。型番を控え、修理可否と費用を確認すると判断しやすいです。
Q9:24時間換気を止めたらカビますか?
長期間止めると湿気が抜けにくくなり、カビリスクが上がることがあります。ただし異常兆候があるなら安全が優先です。代替換気(窓開けやサーキュレーター)をしながら早めに相談するのが現実的です。
Q10:掃除の最適なタイミングはいつ?
入浴直後は湿気でホコリが湿り、泥化しやすいことがあります。乾いた日中に行い、グリルをしっかり乾かして戻すのが成功しやすいです。
まとめ:換気扇の騒音は“音の種類”で8割判断できる
浴室換気扇がうるさいとき、まず見るべきは音の質です。低音の増大や軽いカタカタは、ホコリ抵抗やグリル緩みで掃除で改善する可能性があります。一方で高音の擦れ、焦げ臭さ、異常発熱、動作不安定は、モーターや電装の問題が疑われ、停止して相談が安全です。DIYでできる範囲は、基本的にグリル清掃と見える範囲の乾式清掃まで。無理な分解や油の噴霧は、悪化の近道になりやすいので避けます。
「うるさいだけ」と我慢していると、換気効率が落ち、浴室のカビが増え、結果として生活全体の負担が増えます。早めに軽く整えるだけで、静けさも清潔さも取り戻せます。焦らず、しかし先延ばしにせず、できるところから一歩ずつ進めていきましょう。
Next Step:読み終わった瞬間にまずやるべき「最初の1アクション」
換気扇を10分回し、「低音」「ガタガタ」「キー音」「臭い・熱」のどれが当てはまるかメモしてください。そのメモが、掃除で済むのか、相談すべきかの判断の軸になります。次に、グリルを外してホコリ量を目視し、レベル1の乾式清掃から始めましょう。

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